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2014年の新興国経済と日本経済を俯瞰して予想するビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

BRICs諸国である中国、インド、ロシア、ブラジルと隣国である韓国を合わせた5カ国を総括して見ると、2013年以降の景気減速はそう簡単には避けられそうにない。その要因はいくつもある。

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 BRICs諸国である中国、インド、ロシア、ブラジルと隣国である韓国を合わせた5カ国を総括して見てみると、2013年以降の景気減速はそう簡単には避けられそうもありません。


新興国 中・韓・印・露・ブラジル経済総くずれ: 日・米は支えきれるか?

 そのいくつもの要因を列挙していくと、まずは汚職のまん延です。中国、ロシア、インドでは賄賂を袖の下に通さないと、ビジネスがうまくいかないと言われています。その象徴となっているのが、道路などのインフラ工事です。インフラの工事には多額の賄賂が流れるため、賄賂に抜かれる分はどうしても手抜き工事になってしまい、インフラは実際にかけたお金よりも脆弱なものになっています。

 特にロシアやインドでは、道路がよく陥没することで有名です。これは国内外の企業を問わず、輸送コストの増加につながりますから、頭の痛い問題です。インフラの脆弱さが生産性の低下を招き、海外の企業が投資を控える一因ともなっているのです。

 おまけに政権と警察、司法が癒着している中国やロシアの場合、国営企業でない新興企業の経営者が高級官僚の絡んだ汚職に協力しなかったりすると、逮捕されてしまうケースもあるというから驚きです。これでは国営企業でない企業は育ちません。もちろん、政権を批判しようものなら、警察に逮捕され司法で有罪にされるだけでなく、全財産を没収されてしまうケースもあります。

 次が、格差拡大の問題です。このような汚職がまん延すると、特権階級にある人々は際限なく資産を膨らませることができ、それ以外の人々は置き去りにされていきます。

 やはり中国、ロシア、インドがこれに該当するのですが、特に格差拡大が最も進んでいるのが中国です。否応ない貧富の格差に憤り、中国全土では年間20万件を超える農民の暴動が起こっています。今や共産党一党独裁を揺るがすまでの事態に発展しているのです。

 格差拡大の構造が唯一違うのが韓国です。韓国では前政権まで通貨安政策を採用していたので、大多数の国民の実質賃金がインフレ経済で伸びないなか、大企業に勤める人々とそれ以外の人々の格差が大きく拡大してきました。現政権はそれを改めようと、通貨安政策を志向していません。

 最近では海外の資本流出により、新興国全体で通貨安が進み、インフレが懸念されています。経常赤字が重なって通貨安が一向に止まらないインドやブラジルなどでは、今後は格差がさらに拡大することも考えなければならないでしょう。

 その次が、資源バブルの終焉です。アメリカのシェール革命は世界的に天然ガスや原油、石炭などのエネルギーの需給関係を緩め、長い目で見るとこれらのエネルギー価格が下落していくことは避けられません。そうなると、鉄鉱石や銅、亜鉛、アルミニウムなどの資源はもちろん、大豆、小麦、トウモロコシなどの穀物価格も下落していきます。

 その悪影響をダイレクトに受けるのが、ロシアとブラジルの両資源大国です。ロシアは天然ガスと原油の価格下落によって経済成長率が大きく落ち込み、低迷が続くことになりそうです。同じく、鉄鉱石の価格下落によってブラジルの借金経済は回らなくなるでしょう。

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