遊んでいても結果を出す人 真面目にやっても結果の出ない人:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術
結果の出ない人の多くは熱心な勉強家だ。自己啓発のために仕事をおろそかにしているわけではない。長時間労働も厭わない。むしろ、進んで長時間労働している。それなのに評価されないのはなぜだろう。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
新著「遊んでいても結果を出す人、真面目にやっていても結果の出ない人」(成美堂出版)は「後者」の「真面目にやっても結果の出ない人」たちのために書き下ろしたといってもいい。一生懸命やっているのになかなか評価されない。それどころか「ウザい」とさえ思われている人がいる。なんとも気の毒だ。これまで私が関わってきたどの会社や団体にもこの手の人が必ずいた。しかも、最近では若い世代を中心に増殖している感がある。その人たちへのヒント集を書きたかった。これがこの本執筆の背景だ。
彼ら彼女らの多くは熱心な勉強家だ。ベストセラーのビジネス書はほとんど完読している。異業種交流会や外部セミナーにも足しげく通う。将来のキャリアビジョンもはっきりしている。それなのに評価されない。自己啓発のために仕事をおろそかにしているわけではない。長時間労働も厭わない。むしろ、進んで長時間労働している。それなのに高く評価されることがない。
これだけやっているのに評価されないのは「上が無能のせいだ」と転職を繰り返す輩も少なくない。特に高学歴で「頑張っているのに評価されない」とそうなりがちだ。こうした人達も年齢が上がり、転職回数が積みあがるにつれ、当然ながら転職が難しくなり、ついにはとある組織の中で、何についても後ろ向きの発言をする「ネガキャラ」として定着してしまう。役職としては一人マネジャー(担当部長や課長)止まり。ちなみに中規模の外資系企業にはこの手の人が多い。
この人達は決してサボっていない。むしろその逆だ。頑張ってきたはずだ。それなのにスポットライトが当たらない。脇役ばかりだ。場合によっては舞台にも上がれないことがある。一方で、そんなに頑張っている感がないのに常に日があたり、評価される人がいる。(アンフェアだ。自分の方が一生懸命やっているのに……)この本は心の中でこういう想いを抱いている人たちのための助言集である。
「頑張っているのに評価されない」、「余裕を残しながら評価される」。この差は資質の差だとは思えない。スポーツのように生まれつきの筋力や骨格が効いてしまうものとは違う。100メートル走で日本人選手が必死に練習しても10秒の壁を破ることができず、一方でウサイン・ボルト選手のように流しながらでも9秒台で走る人がいる。こうなると資質の問題があると言わざるを得ないが、こと仕事力という場合にはこれはあてはまらないと思う。ほんのちょっとした行動姿勢の違いだ。十分に修正が効く。
この手の人たちに直接的なアドバイスは効きにくい。「ありがとうございます」と言っても、スルーすることが多い。一方で、この手の人たちは「文字」に弱いことが多い。そんな人に、自ら気づいてもらうために、「ちょっとこれ読んでみては?」と上司が気軽に渡せる本にしたいと思った。自分の部下で「真面目にやっているのだが・・・」という人がいたら、ぜひ、この本をプレゼントしてあげてほしい。これまで数社の幹部の方が部下全員に配ってくれた。以下、その会社の新人社員からのメッセージだ。
この度は、「遊んでいても結果を出す人 真面目にやっても結果の出ない人」を頂き、誠に有難うございます。
まず、本を受け取った時、タイトルを見て非常に興味を惹かれました。私は、どちらかと言えばタイトルの後者の人間だと思います。事業部に配属されて早四カ月。仕事内容や職場の環境にも、思うことが少なからず出てきました。そのことで考えさせられたり、生意気にもイライラしたりしながら、毎日を過ごしています。
出勤時間より早めに出て仕事を始め、休憩時間も早く上がり午後からの準備をし、新人ならではの視点で良いところも悪いとところも見ようと、自分なりに多くのことを学びとろうとしてきました。しかし、なかなかしっくりきていませんでした。
仕事のことで、いろいろと悩むようになってきた、ちょうどこの時期に、この本と出会えて本当に良かったと感じています。
「遊んでいても……」というとチャラチャラしている印象があるが、意図したのは違う。仕事を楽しんでいるというのが適切な表現だ。(但し、これだと新刊タイトル的には弱いので「遊んでいても」になっている。)
真面目にやっても成果の出ない人は、
- 「結果は追求するもの」と考えている
- 「断れない」
- 「細部にこだわり過ぎる」
- 「空気を読めない」
- 「完璧主義」
- 「自分のペースがない」
一方、遊んでいても結果を出す人は、
- 「結果はついてくるもの」と考えている
- 「断る」
- 「全体を見る」
- 「空気を読む」
- 「徹底主義」
- 「自分のペースがある」
私はこれまで「39歳までに組織のリーダーになる(2005年、2009年かんき出版)」「どうしてあの人はデキるのだろう?(2010年 PHP出版)」など、後者の「成果を上げて評価されるヒト」について書いてきたが、今回はその逆。「頑張っているのに評価されない」のは何故か、ここに着目して、「頑張っても評価されない」人達の「頑張り」具合を修正してもらうことで、これまでとは違う毎日を送ってもらいたいと思っている。
仕事は楽しんでナンボだと思う。楽しむためには、そこに自分の意思が必要だ。誰かにやらされているのではなく、自分でやり方をデザインして仕事に取り組む。100%フリーハンドでやれる仕事などない。顧客、取引先、社内などさまざまな利害関係者の意向を組みながらも、その仕事を「自分事」として考えて進める姿勢。これさえあれば楽しくなるはず。制約条件下でも自分のクリエイティブな部分を生かしていく。こうしたヒントについてもいくつか実例を挙げて解説してみた。ぜひ、ご覧いただきたい。
著者プロフィール:柴田励司
1962年東京都生まれ。上智大学文学部英文学科卒業後、 京王プラザホテル入社。 京王プラザ在籍中に、在オランダ大使館出向。その後京王プラザホテルに戻り、同社の人事改革に取り組む。
1995年、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。
2000年、38歳で日本法人代表取締役社長に就任。組織に実行力をもたらすコンサルティング、次世代経営者層の発掘と育成に精通する。
2007年、社長職を辞任し、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COOなどを歴任。 2010年7月より「働く時間」「学ぶ時間」をかけがえのないものにしたいという思いのもと、経営コンサルティング事業と人材育成事業を柱とするIndigo Blueを本格稼働。代表取締役社長を務めている。
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