「社長の覚悟」守るべきは社員の自尊心:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
モノを生み出すのもヒト。カネを増やすのもヒト。会社を生かすも殺すもヒトと組織次第。
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知らず知らずに「動きすぎている」社長たち
「事業がうまくいってない」「業績が伸びない」「資金繰りが厳しい」「人が育たない」など、会社はさまざまな問題を抱えています。その問題の根っこには往々にして「動きすぎてしまう社長自身の存在」があります。
やっかいなのは、社長たちの動きすぎが「よかれ」と思ってなされていることです。
社長であれば、当然「この会社を背負っているのは自分だ」という責任感や自負心を強く持っています。会社に対する責任感や自負心は、社長として必ず持っているべき重要な資質のひとつであることは間違いありません。しかし、ときにその責任感や自負心が強すぎるあまり、知らず知らずのうちに「動きすぎて」すべてに関与しようとし、結果として社員の自尊心を踏みにじる結果になっていることがあります。
動きすぎる社長の下では「ヒトが育たない」
以前、全国の中小企業、ベンチャー企業の経営者が集う「ダイヤモンド経営者倶楽部」で講演をした際、会場にいた経営者に「あなたは、自分の時間をどのように使っていますか?」という質問をしてみました。すると、ほとんどの方から「戦略の策定や人材の育成に時間を使いたいと考えている」にもかかわらず、現実には「日々の業務を自ら率先垂範することに自分の時間の大部分を割いている」という答えが返ってきたのです。この答えから見えてくるのは、仕事のコアな部分のほとんどを社長自身が引き取り、やってしまっている、動きすぎる社長たちの姿です。
すべての業務に関与して、社長自らが引っ張っていこうという姿勢は、個人事業もしくは従業員10人未満の小さな会社でやる分には問題はありません。むしろ、社長個人の能力や情熱が推進力となり、事業が効率的に動いていく可能性は高いと言えます。
しかし、それなりの規模の組織で大きな仕事をしていこうとするときは、社長が前に出すぎることはたいていマイナスに作用します。
なぜなら、動きすぎる社長の下では「ヒトが育たない」からです。
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