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もしもあなたが新規事業の担当になってしまったらビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

この2〜3年で企業の新規事業に取り組む姿勢が大きく変わってきている。新たな市場への進出、新事業創出ができるかどうかが登用されるポイントになっている。

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「私が新規事業担当に?」その時の反応で組織の活性度が分かる


はじめての社内起業「考え方・動き方・通し方」実践ノウハウ

 もしもあなたにある日突然上司から「新規事業の立上げ」の任が下ったとしたら、どんな風に捉えるでしょうか。

 「おぉ、これまでの実績が認められ、ついにこのチャンスがやってきたか!」と意気込むでしょうか。

 「参ったな。これは主力事業部門から出され、王道の出世ルートから外れてしまったか」と意気消沈するでしょうか。

 もしくは「わが社の現状を考えれば、これは大事なミッションだ。何とかしなければ。」と腹を括るでしょうか。

 それとも「既存事業の厳しい実績評価のサイクルからしばし抜け出し、ゆっくりできそう。」と思うでしょうか。

 受け止め方は人それぞれの仕事に対するメンタリティーによっても異なると思いますが、その会社の歴史・風土、全社における新規事業の位置づけによっても、その組織にいる人の受け止め方は変わってくるでしょう。

 その会社の次世代リーダーと目される人が、新規事業という仕事をどのように捉えているかで、その組織の新事業創造に対する活性度が分かります。

企業人にも起業家マインドが求められる時代

 ただ、本人が望む望まないにかかわらず、企業において新たに事業を興していくことは、組織のリーダーに求められる重要な役割になってきているのは間違いありません。

 長らく企業の新規事業開発の支援を仕事にしてきましたが、この2〜3年で企業の新規事業に取り組む姿勢が大きく変わってきているのを肌で感じています。既存事業の市場拡大があまり期待できず、競争は益々激化して収益性は落ち、新たな市場への進出、新たなモデルの新事業創出を至上命令にしている企業は多いです。

 そして、M&Aで外からお金で買ってくるだけでなく、自らの力で事業を生み出していける社員を社内で育てていかなければいけない、と考える企業が増えました。(企業としては、ある意味当然とも思いますが)

 必然的に、上級管理職や役員に登用されるかどうかは、既存の事業を「ちゃんと運用する」だけではなく、「よりよく改善する」だけでもなく、「新たな価値を生み出していく」ことができるかどうかで見ている、という企業が増えてきました。

新規事業担当者はどこでつまずくか

 独立起業の場合、つまずく場所は資金調達から商品開発、人材確保、販路開拓、認知度向上まで幾つも挙げられますが、社内起業の場合には、どんなところでつまずくことが多いのでしょう。

 多くの場合、まず「何からどんな領域で検討するか」の範囲が決められない、ということが最初のつまずきになることが多いです。

 役員から「既存の枠組みに捉われず、自由な発想で」などと言われると、担当者は益々混迷を極めます。たいていの場合、本当に「自由に」発想して起案したら、組織の中では「なぜわが社がこんな新規事業をやる必要があるの?」と評価されてしまうのが落ちです。

 「投資資金と期待収益規模と投資回収までの必要期間以外、制約条件はない。」と言われて検討をスタートしても、実は(長い歴史があったり過去に大きな実績を残している組織ほど)暗黙のうちに「わが社らしい事業の在り方」という、目に見えない形式知化されていない枠組みがあったりするものです。

 その枠組みを守るか破るかは別にして、そのような暗黙の枠組みがあることを知らずして進めるのは、社内起業において得策ではありません。

 まず担当者がすべきは、市場分析や既存事業の課題の洗い出しではなく、社内で経営陣と方向性の摺合せを十分に行うことです。担当者としては、ここでしっかり摺合せをしておかないと、後からハシゴを外されるようなことも起こりうるのが組織というものです。担当者にとって企業人としてのリスクはそんなところにあります。

 経営者との摺合せや組織内で逐次オーソライズを行いながら進めることは、企業人としては組織における自己防衛の意味でも重要です。

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