仕事ができる人の人脈形成:人脈を科学する――つながる人、引き上げる人、できる人の法則(1/2 ページ)
多くの人と一緒に修羅場を乗り越え「お互いにひと肌脱ぐことができる関係」から人脈が生まれる。その維持方法は?
仕事のできる人は特別な人脈拡大方法を持つか
仕事ができるとされている人々は、人脈を広げる特殊な方法を持っているのでしょうか。私はこの素朴な疑問が頭から離れませんでした。何か特別なやり方を仕事ができる人は持っていて、彼らの仕事をよりやりやすくしているのではないだろうか――その疑問を明らかにしたくて一連の調査を行ってきました。
調査を始めるにあたって、「仕事ができる人」の定義で悩みました。仕事ができるという評価は周りからその人へのもので流動的です。ある部署で仕事ができるという評価をされたとしても、部署が変わったら輝きが失ったということもしばしば見られます。非常に恣意性が高い。しかし、そんなことも言っていられないので、企業の経営企画室に在籍している者、人事部からわが社の若手で成績が良い、若手のホープとされている人を男女ともに推薦してもらいインタビュー調査を行いました。
結論から言えば、これらのいわゆる「仕事のできる人」は特筆すべき人脈拡大の方法はなく、また、活動もほとんどしていませんでした。彼らだけにみられるウルトラCの人脈拡大術はなかったのです。
確かに、いわゆる花形コースを歩いていた人は、「偉い人」と会う機会は他の人よりもありました。しかしながら、単に知っているだけの地位の高い人を彼らは人脈メンバーとみなしていませんでした。もちろん、名前を偉い人に覚えてもらうというキャリア形成上の利点は享受していたでしょう。
ところが、現実問題として知っているだけの「偉い人」は自分から積極的に働きかける存在ではなく、偉い人の腰巾着作戦を積極的に取ることを最優先とする行動は見受けられませんでした(あくまでも本人達の聞き取りからですから、現実は違うのかもしれませんが)。「仕事のできる人」のほとんどは、真面目に仕事に取組み、多くの人と一緒に修羅場を乗り越え「お互いにひと肌脱ぐことができる関係」を構築し、これを自分の人脈と認識していました。
人脈継続の仕方の違い――長時間一本勝負の男性と、隙間時間有効利用の女性
ウルトラCの人脈形成方法がなかったかわりに、修羅場をくぐり、得た人脈の継続の仕方については特徴がありました。明確に男女差がみられたのです。
男性はネットワークを活性化(もしくは継続のためのメンテナンス)させたいときに、アフターファイブを使いじっくり時間をかけて相手と向き合おうとします。一席設け、飲んでじっくり話し合うというのが典型的なやり方でした。
これに対して女性の多くは、空いている時間を日中使ってネットワークの活性化とメンテナンスをしていました。例えば、久しぶりに本社に会議で行った。その休み時間を使って、昔の上司や仲間にフットワーク軽く挨拶をして回る。休み時間1時間に数人と会うのはざらでした。日をあらためて会うような約束を取り付ける場合もあるし、その後についてはさまざまです。しかし、挨拶に回ることで自分を印象づけ、次なる付き合いへの布石を確実に打っていました。これは、多くの女性が男性ほどアフターファイブの時間を自由にできないという理由が背景にあるように思います。
男性がアフターファイブの長時間一本勝負で人脈のメンテナンスをするならば、女性は隙間時間を有効利用して多人数との人脈のメンテナンスを行っていました。フットワークが軽いというのがポイントで、時間をかけたつきあいを常にしなくても、能動的に多くの人とアクセスすることで、自分の持つ人脈をより強固にしていました。
男性型と女性型のどちらが、人脈維持の仕方として優れているのかは正直なところなんとも言えません。効果としてはあまり差が無いように思いますが、人脈維持方法としてどちらも参考になるでしょう。
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