「働いてはいけない」時代の新しい働き方:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
「働いてはいけない」環境の中で、大量の仕事をこなすためにたどり着いた「7つのゼロ思考」とは?
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あなたは「24時間、戦えますか」というフレーズをご存知だろうか? 1988年、バブル絶頂期に発売された「リゲイン(第一三共ヘルスケア)」という栄養ドリンクのキャッチコピーだ。1989年の新語・流行語大賞の銅賞にも選ばれている。モーレツに働き、世界に誇れる強いサラリーマンが社会を引っ張っていると考えられていた時代にできたフレーズだ。
しかし、時代は変わった。違法労働に関して、労働基準監督署の厳しい視線が常に社会に注がれている。また、2016年8月に就任した小池百合子東京都知事は、都庁全職員を対象に「仕事は夜8時まで」との号令を出した。一斉消灯の実施や、夜8時以降に退庁する職員の所属と氏名をチェックする方針だ。ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフー株式会社は、「週休3日制」の導入を検討していると発表した。優秀な人材を確保することが狙いだという。まさに現代は、「働いてはいけない」時代へと移行しつつある。
私が勤めていた大手金融機関でも、「働いてはいけない」時代の波の中にあった。私自身、夜8時の絶対退出を命じられた。もちろん土日出勤などもっての他だ。しかも私が働いていた部署は、「ご愁傷さま」と言われるほどの、金融機関で最も忙しい部署の1つだった。さらに、人員が減らされ、仕事を分担していた同期が入院するなど不運が重なり、3人分の仕事を1人で終わらせなければならない状況に追い込まれてしまった。
しかし、このことは私にとって幸運以外の何物でもなかった。なぜなら、この状況を乗り切る過程で、仕事の進め方が劇的に改善されたからだ。「働いてはいけない」環境の中で、大量の仕事をこなす必要があった私がたどり着いたのは、「7つのゼロ」を導くシンプルな数式だ。次に掲げる「7つのゼロ思考」(同名の書籍をぱる出版より上梓)が、ビジネスパーソンの仕事のスピードを一気に加速させる思考術を提供する。
1、「ボール=0」〈ボール(仕事)を受けたらすぐ離す〉
2、「期待値=0」〈アウトプットの質への期待を低く抑える〉
3、「デスク=0」〈デスクを空にする〉
4、「オリジナル=0」〈ゼロベースから始めない〉
5、「作業=0」〈他人に作業を任せる〉
6、「モレ=0」〈全体を把握し、漏れをなくす〉
7、「モノマネ=0」〈「新しさ」で高いアウトプットを生み出す〉
ここでは、第1のゼロ思考「ボール=0」〈ボール(仕事)を受けたらすぐ離す〉を紹介する。このたった1つのシンプルな数式で、「仕事が山積みになる」という問題をクリアに解決できる。
まずは簡単なゲームをしよう。今、あなたのまわりにバスケットボールを持った10人が円を描くように並んでいるとする。そして1人ずつあなたに向かってボールを投げていく。そしてあなたは、そのボールを1つずつ受けとめる。受けたボールを床に置いてはいけない。ボールを持ちきれずに床に落としてしまったらゲームオーバーだ。
このとき、あなたは10個のボールをすべて受け止めることができるだろうか?
4〜5個ならなんとか持てるかもしれない。しかし、8個や9個、ましてや10個すべてのボールを受けるとなると、持ちきれずに床に落としてしまうだろう。
仕事でも同様だ。職場のデスクに座っていると、さまざまな人に仕事の依頼をされる。上司や部下、同僚、同じ部署の他チームの人、他部署の人、さらには顧客からの依頼で、気付けば仕事が山積みになって「仕事が減らない」と途方に暮れる、そんな経験があるのは私だけではないはずだ。
では、10個のバスケットボールを床に落とさないためにはどうすればよいだろう?
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