チャンスをつかむプレゼン:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
企画力は、新人もベテランもまったく差がない。実現できるかどうかには圧倒的な差がある。その差は何か?
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
企画がうまくなるのではない。企画の通し方が、うまくなるのだ。
リーダーの仕事は、アイデアをつくり、それをクライアントにプレゼンで通すことです。
リーダーがアイデアを実現するわけではありません。クライアントがお金を出して、リーダーのアイデアを実現します。プレゼンなしには、リーダーの仕事は成り立たないのです。
企画力に関しては、新人もベテランもまったく差はありません。ただし、それが実現できるかどうかには圧倒的な差があります。リーダーの企画が通るのは、企画がいいからではなく、プレゼンがうまいからです。
同業者の中には、「あの企画はオレも考えていた」と負け犬の遠吠えで言う人がいます。プレゼンで通る企画は、ほかの同業者も全員考えていることです。そこでクリエイティブ能力が発揮されるのは、そのアイデアをどう通すかというところです。
本当のクリエイティビティーは、聞き手を説得する力です。クライアントを説得できなければ、つまらない仕事しかできなくなるのです。
出版の世界でも、他社のベストセラーに対して「あれぐらいの企画は自分も考えていた」と言う編集者がいますが、負け犬の遠吠えです。その人は、企画を通せなかっただけです。ベストセラーにできた人は、企画を通す力があったのです。
企画を通すには、2段階あります。
最初に会社の中で企画を通し、次に社外で通します。今度はそれを消費者に向かって通します。無限に人に向かってつながり、味方にしていくためには、プレゼンという壁を越える必要があるのです。
僕は博報堂時代に先輩から、「企画をどうしたらもっと面白くできるかより、どうしたらプレゼンで通せるかを考えろ」と教わりました。TVを見て「面白いCMだな」と思うと、いつも「このとんがった企画はどうやって通したんだろう」ということに目が行きます。
チャンスをつかむ人は、面白いCMを見て「このCMをどうしたら企画できるか」とは考えないのです。
スクリーンの横に立つと、スクリーンが主役になる。
プレゼンでパワーポイントを使って話をする時、たいていの人が失敗するのがスクリーンの横に立つことです。スクリーンの邪魔になってはいけないと考えるのです。その結果、スクリーンが主役で話し手がわき役になります。映画を解説する弁士のような状態です。
スティーブ・ジョブズは、プレゼンをする時、スクリーンの前に立っていました。体に映像が映ってもビクともしません。スクリーンが「従」で、自分が「主」であるということです。スクリーンの邪魔にならないように陰に隠れると、話し手の勢いがなくなってしまいます。
聞き手はみんなスクリーンを見て、話し手を見なくなるからです。
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