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【第2回】過酷な物流環境 カナダの小売はSCMが勝負CEOとCIO――2つの顔を持つと言うこと

フォーザニはカナダで唯一、全国展開するスポーツ用品チェーンだ。国内の物流環境が過酷なことを考えると、他社が追随してこないのも無理はない。同国の人口のほとんどは、4800キロ以上に及ぶ米国との国境地域に散在し、冬の天候は厳しく配送の妨げになるからだ。

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 2003年にフォーザニ氏はCEOを退任し、その後、元所属チームのオーナーになった。代わって、CFO(最高財務責任者)としてグループ入社し、社長となっていたボブ・サーター氏が後任のCEOに就いた。

 頭でアイスホッケーのパックを止めることで知られた、元アイスホッケープレーヤーのサーター氏は、熱心なアウトドアスポーツファンである。バンフに近いキャンモアに週末だけ過ごす別荘を持ち、レーニア山のような手ごわい山に登ることに情熱を注いでいる。

 フォーザニも業界の頂点に立っている。「Sport Chek」「Sport Mart」「Coast Mountain」「National Sports」の4ブランドで200店舗以上を運営し、年間10億ドル以上を売り上げている。そのほか幾つかのブランドでフランチャイズも200店舗展開。全体で市場シェアは20%を確保している。

ボブ・サーターCEO
役員会議室からサーバールームへ:フォーザニグループCEOのサーター氏はCIO代理も務めることに

 サーター氏は「フォーザニは圧倒的なリーダー企業。10年前だと、独立店や地方店が市場の61%を占めていた。いまではそのシェアは51%。この間に拡大したパイのほとんどを獲得した。いまの目標は30%。売上高は今後4年で20億ドルにまで伸ばす」と意気込む。

 フォーザニはカナダで唯一、全国展開するスポーツ用品チェーンといえる。国内の物流環境が小売業者にとって過酷なことを考えると、他社が追随してこないのも無理はない。同国の人口のほとんどは、4800キロ以上に及ぶ米国との国境地域に散在している。冬の天候は厳しいことが多く、(商圏が広域にわたることは)配送の妨げになる。

 「ニューヨーク―フィラデルフィア間の地域を市場とする企業と同じ規模のビジネスになる。われわれの場合はサプライチェーンが成否を決める。成功するにはベストを尽くすしかない。どうやってモノを運ぶかが重要になる。適切な商品を、適切なタイミングで、適切な場所に用意することが肝心だ」と、サーター氏。

 それは容易なことではない。1999年にキース・ランバート氏がサプライチェーンディレクターとしてフォーザニに入社した時、同社の技術はお粗末なものだった。「ITはビジネスにあまり貢献していなかった。倉庫では紙ベースのピッキングシステムが使われていた」と、ランバート氏は振り返る。

 2000年にフォーザニは倉庫管理システム(WMS)を導入した。だが、間もなくこのシステムは会社の成長に追いつけなくなった。総面積46万平方メートル以上を誇る、全国の各種ブランド店の売り場に、カルガリーとトロントの物流センターから商品を供給しなければならなかったからである。

 ITの刷新を切実に必要としていたフォーザニは2001年、ステープルズのカナダ法人でIT部門を統括していたギリス氏を、CIOとして採用した。ギリス氏はサーター氏と連携し、フォーザニの主要ITシステム(倉庫管理、商品管理、POSなど)を置き換える計画を立案。買収した5社のシステムの統合にも取り組んだ。

 ギリス氏は当時作成した文書で、次のように説明している。

 「このプロジェクトの主なビジネス目標は、商品を効果的かつ柔軟に配分して全店舗の売り上げを最大化するとともに、商品入庫からピッキングまでの時間を短縮することにより、各店舗に対する物流センターの対応を迅速化することにある」

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