人事給与システムを活用し新しい切り口の提案を:特選事例(1/2 ページ)
人事給与系のパッケージ導入で、業務改善が実行に移されようとするとき、必ず社内で軋轢が生まれる。しかしそれを乗り越えることで、部門の壁が取り払われ、システムが蓄積するデータをフル活用する体制が自然に整ってくるのだ。
導入前の課題
人事給与システムを刷新し、シェアードサービスの仕組みづくりを進めてきたが、データを蓄積し、定型のアウトプットを続けるだけでいいのか、このシステムをさらに有効活用するにはどうすればいいのかという課題があった。
導入後の効果
分析ツールの導入を決め、人事給与システムと連携させた。この作業もスムーズに完了し、整理された豊富な情報を分析することができるようになった。
押し付けではすべての努力が霧散する
東洋鋼鈑はブリキメーカーとしてスタートし、以来鉄を中心とした新しい素材の開発に挑戦してきた。同社の創業は1934年、山口県下松市を拠点にグループ8社、社員2800人を擁する。最近ではジュースや缶詰などの缶用材料だけでなく、付加価値の高い新しい分野での展開を進め、磁気ディスク用アルミ基板、電池用ニッケルメッキ鋼板、ブラウン管用シャドウマスク材などは世界市場で高いシェアを誇っている。
同社は2004年秋に人事給与システムの刷新に際して、パッケージソフトの導入を決断し、エス・エス・ジェイのSuper Streamの人事給与システムを選択した。現在、東洋鋼鈑では単に全社システムを構築するのではなく、グループ各社の管理も視野に入れたシェアードサービスの仕組みを構築中だ。
東洋鋼鈑管理本部の鈴木誠給与センター長は次のように話す。
「現在、山口県に『給与センター』が設立され、順調に稼働中です。関連各社へのサービスもかなり進みました。関連会社の給与計算業務を一括して処理するシェアードサービスの仕組みは、当社にとっても非常に大きな意味のある仕事です。しかし、関係会社のシステム立ち上げには本体の立ち上げとは違った苦労もありました。親会社のやり方を押し付けるのではなく、まずは関係会社の仕事のやり方を一つ一つ押さえることから始め、どこを本体に合わせた方が良いのか、どこは独自性を残した方が良いのか、地道な検討作業を続けました。どうしても譲れない独自のしくみに対応するにあたっては、SuperStreamの拡張性の高さが大きな役割を果たしてくれています」
詳細な分析によって実効性のあるアイデア創出
人事給与システムの刷新、そしてそれをベースにしたシェアードサービスの仕組みの構築は、鈴木氏を始めとする本社スタッフと各関連部署、関連会社のスタッフとの本音のぶつかり合い、粘り強い議論によって着実に進んでいる。しかし鈴木氏は最近また新たな発想が浮かんできていると話す。
「それは、ここまでデータが詳細に集まり、整理されて動かされるようになったことが、発端といえば発端です。このデータを多角的に解析して、各社の施策に生かせないかと。例えば、給与に関してドリルダウン分析をすることで、新しい仕組みを具体的に発案して、上層部に提案することも可能です。新しい仕事の人員編成やプロジェクトのスタッフ構成を考えるときにも役立ちそうです」
ということは、SuperStreamとシステム連携する分析ツールが必要になってくる。鈴木氏はこのツールとしてウイングアーク テクノロジーズのDr,Sumを選択した。SuperStreamとの連携がスムーズにできることが前提条件だった。
「システム連携は非常にうまくいったのではないでしょうか。各セグメントでの情報を瞬時に引っ張り出して分析することができます。これぐらいスムーズであれば、それほど訓練などしなくても、誰にでも使えると思います。データで分析した結果と実際の現場での状況を照らし合わせることを続けていけば、それが経験知として集積され、さまざまな改革のきっかけになるかもしれません」と鈴木氏の期待は膨らむ。
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