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人事給与システムを活用し新しい切り口の提案を特選事例(2/2 ページ)

人事給与系のパッケージ導入で、業務改善が実行に移されようとするとき、必ず社内で軋轢が生まれる。しかしそれを乗り越えることで、部門の壁が取り払われ、システムが蓄積するデータをフル活用する体制が自然に整ってくるのだ。

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強固な人事システム基盤新しい段階へと進む

 かつて同社の人事情報は大型コンピュータによって、システム化はされていたが、使い勝手の面では、問題が多く、そのデータを使って何かの分析をするなどということは現実的な作業とはいえなかった。

 しかし、連結会計の波が押し寄せ、関連会社も含めたグループ全体のシステムの再構築が必要となり、人事システムもパッケージを活用するようになったのである。パッケージ導入で300種類以上あった帳票の8割は削減することができた。その削減効果は確かに大きいが、同社はデータを集積し、定型のアウトプットを問題なくこなすだけのIT活用では満足できなかったということだろう。

 こうした発想が出てくるのは、そもそもこれまでデータを集積し定型のアウトプットを出していく流れがスムーズになったことが大きく影響しているはずだ。シェアードサービスという仕組みの中で、大量の情報が流れていても、必要な情報を引き出せる状態にする、というのは当たり前のようで実はそうではない。現実にはその段階で足踏みをしてしまっている企業も多い。

 求められればデータを提供する、これはコンピュータの仕事。それを動かすスタッフはデータを縦横に駆使して、新しい知恵の創出に努める。東洋鋼鈑はシステム活用の新しい段階に踏み出したといえるだろう。

 分析が容易になったのは、ひとえにツール選定の賜物なのだろうか。鈴木氏はそのあたりを次のように語る。

 「もちろんそれもありますが、もともとの人事給与システムとの相性が悪ければ何にもなりません。実際、システム連携というのは問題が起きるケースが多いですからね。そういう意味で言えば、SuperStreamの柔軟さもありがたいですね」

 問題を発見し、それに対する施策を打ち出すには時間がかかると予測されるが、分析作業そのものがスムーズなので、切り口さえしっかりしていれば、具体的な施策の策定も早くなるのではないかと鈴木は期待している。鈴木氏は最初のパッケージ導入では部門や事業所の壁を壊した。関係者全員で少しずつ壊していった、とのことだが、それがデータ分析にもいい影響を与えているようだ。いいアイデアがあれば、それこそ部門、部署の垣根を越えて、より斬新で実効性のあるプランを考えることもできるからだ。 将来的には、人事給与データだけでなく、会計や購買、生産管理のデータも取り込んで、統合的な経営情報システムとして拡張していくことも検討中だという。まさに「発想する人事チーム」といえるだろう。

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