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市場の混乱あるも足元景気は拡大か? その傾向はドラマ「働きマン」にも景気探検(1/2 ページ)

サブプライムローン問題による金融資本市場の混乱や建築基準法改正の影響などはあるが、足元回復の動きをみせる明るい動きもある。

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 11月6日に発表された9月分景気動向指数(速報値)では、先行DIが0.0%、一致DIが66.7%、遅行DIが25.0%になった。

 先行DIは2カ月連続で景気の分岐点の50%を割り込み、しかも0.0%と衝撃的な数字になった。1980年からある現行統計では、97年11月分・12月分に次ぐ3回目の0.0%である。サブプライムローン問題による金融資本市場の混乱や建築基準法改正の影響などで相当弱い数字になったと言われよう。目先、先行DIの動向を注視する必要はあるだろう。

 なお、9月分の先行DI改定値では、実質機械受注がプラス符号で加わると、速報値段階での0.0%からは脱却できる。本稿が活字になる時には結果が判明していよう。ただし、いずれにせよ50%割れには変わりはないだろう。10月分も50%割れの可能性が高い。

 しかし、先行DIがこの先ずっと悪い数字になる状況が続くことはないとみる。11月分の景気動向指数・先行DIは足もとマイナス符号である東証株価指数や日経商品指数、新設住宅着工床面積などがプラス化の可能性が高い。その頃には、先行DIは50%超の基調に戻るのではないかとみられる。

生産は足元回復の動き

 一致DIは6カ月連続の50%超になり、足元、景気拡張が継続していることを裏付けた。内閣府は一致指数の基調判断は、「改善を示す水準にある」として4カ月連続で据え置いた。

 なお、景気の量的な動きを示す一致CIの9月分は、現行統計がある1980年以降のこれまでの最高水準であった今年8月分に次ぐ高水準の数字である。足元の景気の堅調さを示したかたちだ。一致DIの先行きに関しては、概ね50%超が続きそうだ。

 年初にもたついていた生産が、足元回復の動きをみせていることも明るい動きとして挙げられる。7〜9月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比2.2%増と3四半期ぶりにしっかりした増加となった。生産は1〜3月期にITの在庫調整や米国向け生産の調整などで6四半期ぶりに減少した。4〜6月期も前期比0.2%増と小幅な伸びにとどまったが、7〜9月期以降は一時的なもたつき局面を抜け増加基調になることが期待される。

 10月分の鉱工業生産指数・速報値は9月分の改定がないとし予測指数(前月比3.8%増)で延長すると水準は、比較対象の7月分を6.4ポイント上回りプラス符号になる。多少の下ぶれを考慮しても、10月分の生産はプラス符号になることを示唆する数字だろう。

 同様に、11月分の鉱工業生産指数・速報値は10月分を114.5として、11月分の予測指数(前月比0.7%減)で延長すると水準は113.7になるので、比較対象の8月分の111.9を1.8ポイント上回りプラス符号になる。一致DI採用系列には生産指数と関連が深い系列が多い。このため、足元の一致DIは50%超が続く可能性が大きいだろう。

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