市場の混乱あるも足元景気は拡大か? その傾向はドラマ「働きマン」にも:景気探検(2/2 ページ)
サブプライムローン問題による金融資本市場の混乱や建築基準法改正の影響などはあるが、足元回復の動きをみせる明るい動きもある。
景気はサブプライムローン問題などに加え、国内の消費者心理の悪化など景気の不透明な足かせ要因を多く抱えながらも、一応、緩やかな拡大を続けている。
しかし、日本の株価は冴えない。株価と転換ポイントが連動する「景気ウォッチャー調査」の現状判断DIは4月以降低下基調にある。9月分の「景気ウォッチャー調査」の業況判断DIは家計動向関連中心に悪化した。国内では、雇用・所得環境は底堅い面があるので、個人消費復活のために消費者心理を上向かせる材料がほしいところだ。
「働きマン」で占う消費マインド
頑張っている人を素直に応援しようという風潮が出てくると、もたつきもそろそろ最終局面になる傾向がある。
NHK朝の連続テレビ小説の視聴率をみると今年度上半期の「どんど晴れ」は20%超を記録することが多かった。盛岡の老舗旅館の女将修業に頑張るヒロインを応援しながら見ていた人が多かったのだろう。
10月から始まった下半期の「ちりとてちん」は視聴者に近いヒロインを描くということで、前向きにくじけず頑張るというよりもすぐに「へたれ」てしまうヒロインとなっており、視聴率は11月初旬までで10月13の18.0%が最高だが低目である。視聴者としては前向きに頑張るヒロインのドラマの方が受け入れられている状況にあると言えよう。
10月から始まった連続ドラマでは「ガリレオ」が初回に24.7%を記録した後も20%台の高視聴率を記録している。
景気が良くない時には強い女性が主人公のドラマがヒットすることが多い。消費マインドを占う上で強い女性が主人公の「働きマン」などの視聴率が注目された。バリバリの女性編集者が主人公の「働きマン」は初回の10月10日こそ15.7%とまずまずの数字となったが、第2回以降は頭打ちになっている。今のところ強い女性のドラマが大きく支持されてはいないことから、身近なデータからは消費マインドはしばらくすると持ち直りしそうだ。
なお、個人消費の足もとに関する個別データを挙げると堅調なものが多い。例えば、JRAのGIレースは10月28日の天皇賞まで5レース連続で売上が前年比増加となった。約4年ぶりのことである。
たくもり・あきよし
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
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