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「日本はSAPに匹敵する製品をつくれる」「電子政府は出来が悪い」(2/3 ページ)

日本のIT分野における国際競争力の向上に向けた、パネルディスカッションが「ワセダCIOフォーラム」で行われた。「日本はSAPに匹敵する製品をつくれる」「電子政府は出来が悪い」――など、産官学からのパネリストが議論を戦わせた。

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「総合評価は高いが、黄信号も」――BSA水越尚子弁護士

水越尚子氏
BSA日本担当コンサルタント水越尚子弁護士

 BSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)日本担当コンサルタントの水越尚子弁護士は、英エコノミスト誌の調査部門に委託して調査した、IT産業の国際競争力の評価結果を披露した。

 64カ国を対象にIT産業の国際競争力を評価したもの。それによると、日本は米国に次いで総合評価で2位に着けているという。

 「その評価の高いことに驚いた、という声が多い」と言うが、日本が2位になったのは、特許件数をもとにしたR&D環境に対する指標が全体25%と高いウェイトを占めていたからだという。

 「人的資本、大学のサイエンス部門の入学者数、文化の受容性など、経営環境などの指標は、日本はかなり低いところにある。今後は、日本のIT競争力について黄信号が点灯する可能性もある」と、水越氏は警鐘を鳴らす。

「中小企業や製造業のIT投資に大きな課題」――経済産業省吉崎氏

 経済産業省大臣官房審議官(IT戦略担当)の吉崎正弘氏も、この評価に「ピンと来ない」という1人だ。同氏は、中小企業と大企業のIT投資が二極化している状況や、IT投資効率が良くない点を問題視している。

吉崎正弘氏
経済産業省大臣官房審議官(IT戦略担当)吉崎正弘氏

 「全般的に言えば、ITに対する資本のウェイトは米国よりも遅れている。製造業などでは、ITの質の低さも報告されている。IT利活用の幅が部門の壁を越えられず、部分最適に留まっているせいだ」

 ITに対する問題意識を持った経営者は決して多くなく、IT投資に対する評価をほとんど行っていないというのが現状だ。

 企業だけでなく「官」の世界も同様の課題を抱えている。競争がある「民」の世界と異なり、評価される機会が少ない行政は、どうしてもITを使いこなしの点で遅れを取ってしまう。

 吉崎氏は「電子政府など、はっきり言って出来が悪いとしか言えない。今までの仕事のやり方をそのまま電子化した結果、非常に効率が悪く、税金を無駄にしている」と切り捨てる。

 「ITとBPRがつながっていないのだ。このあたりは民間よりさらに弱い。アウトカム(成果)の評価をきっちりやって、個人の評価にも紐付けするくらいにしなければ」

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