保護されないと絶滅する珍獣、ガラパゴス化する日本(2/2 ページ)
日本企業はガラパゴス化してないか? NRIはそう警鐘を鳴らす。2015年、日本の内需は頭打ちになると同社は予測。BRICsと呼ばれる新興市場への対応が叫ばれるが、遅れが目立っている。
このような現象は、そのほかのビジネスにも見られるという。吉川氏は、電子マネー、決済ビジネスなどをその例として挙げた。
「電子マネーのほとんどがFelica方式。性能はいいが、世界ではType AのPhilipsのMIFAREが伸びてきている。このままだとガラパゴス化する可能性がある」
決済ビジネスにおいては、China UnionPayが急成長している。2002年に中国人民銀行が中心となって政府主導で設立され、中国国内では12億枚を発行しているという巨大ブランドだ。膨大な中国の人口を背景に、今後クレジット決済のデファクトスタンダードになる可能性を秘めているが、現在の国内取扱店は7400店とまだ少ない。
早く動いたが勝ちの世界
中国などを含む「坂の中の雲」市場攻略の鍵は「グローバルな標準活動への積極的な関与」と「新興国の有力プレーヤーとのアライアンス」だという。しかもこれは早く動いたとところが勝ちやすい。
「スタンダードを取ることが大切なのは、何もITやエレクトロニクス分野に限ったことではない」
有害物質規制のRoHS指令、REACHプログラム、EurepGAPなど、EUのスタンダードがアジアに入り込んできている。そこに日本の影はない。「スタンダードへの積極的な関与が必要だろう」と、吉川氏は言う。
とはいえ、グローバル化が求められる中、若者ほど、海外勤務に抵抗感を持つ、保守化の傾向にあるという。「そこそこ豊かで、親も近くにいる。何で、新興国に行かなきゃならないのか。そう感じているのではないか」と、吉川氏は話す。
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