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キーワードで探る2008年IT業界の行方IT業界展望(1/2 ページ)

2008年のIT業界はどんな動きを見せるのか。技術は? サービスは? 業界再編の動きは? 注目のキーワードをさまざまな統計データをもとに探ってみる。

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 2008年のIT業界はどんな動きを見せるのか。キーワードで言うと、「NGN(Next Generation Network)」「仮想化技術」「内部統制」「SaaS(Software as a Service)」があげられるだろう。これらはすでに話題になっているものばかりだが、08年に本格的に普及する技術・サービスとして注目の的になるのは間違いない。ここではその中から、仮想化技術とSaaS、そしてソフトウェア業界の再編について、さまざまな統計データをもとに探ってみる。

2008年のIT市場規模は前年比2%増の12.5兆円

 まずは、08年の国内IT市場規模がどのように推移するのか、を探ってみよう。IT専門調査会社のIDC Japanがこのほど発表した国内IT市場規模の予測によると、07年は前年比2.5%増の12兆3050億円。これが08年には12兆5560億円(前年比2.0%増)になるとしている。

 ちなみに06年から5年間の年間平均成長率は1.8%で、11年の市場規模は13兆1392億円と堅調に推移する見込みだ。

 IDC Japanではこうした堅調な市場拡大の要因について、「企業のIT投資は今、内部統制強化に向けたコンプライアンス対策が中心となっているが、それ以外にも個人情報保護法、環境法制、製品安全法制、会計基準の見直しなど、求められている範囲は幅広い業務分野に及んでいる。したがって積極的な事業展開と併せて、継続してIT投資を押し上げる」と見ている。

 このIDC Japanのコメントには、技術やサービスにおける各論のキーワードは登場しないが、08年、国内のIT市場に大きなインパクトを与えそうなのが、技術では「仮想化技術」、サービスでは「SaaS」だ。

 仮想化技術は、コンピュータのCPUやメモリ、ストレージなどのハードウェア資源を、あたかも複数台のコンピュータやストレージとして仮想的に分割し、それぞれを利用できるようにする技術である。仮想化技術を用いた仮想化ソフトを使うと、例えば複数のPCサーバで動かしていた別々のシステムを1台のサーバに統合することができる。

 これによってユーザー企業にとっては、システム導入の初期費用や運用コストを削減できるようになる。

 仮想化技術の適用については、ここにきてハード・ソフトメーカーの多くが本格的に取り組んでおり、IDC Japanがこのほど発表した国内の仮想化ソフト市場規模予測では、06年の58億3000億円(前年比64.9%増)から年間平均成長率39.8%で拡大し、11年には311億8100円に達する見込みだ。

SaaSの市場規模が1兆円の大台超えへ

 一方、08年にITのインフラを担う重要なサービスとして一気に広がりそうな勢いなのが、インターネットを介してソフトをオンデマンドで提供するSaaSだ。ここにきてソフトベンダーやシステムインテグレーターの多くが本格的な取り組みを始めており、SaaSをテーマにしたセミナーや展示会も超満員の状況。ハードに続いてソフトもいよいよ「所有」から「利用」する時代へと移行し始めたようだ。

 SaaSと同様のサービス形態であるASP(Application Service Provider)を併せたASP・SaaS事業者の業界団体であるASPインダストリ・コンソーシアム・ジャパン(ASPIC Japan)がこのほど発表した国内のASP・SaaS市場規模予測では、ここ数年、同市場は年間平均30%程度の成長を続けており、07年で8070億円、08年は1兆円の大台を超え、10年には1兆5000億円以上の規模に達する見込みだ。


国内のASP・SaaS市場規模予測

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