キーワードで探る2008年IT業界の行方:IT業界展望(2/2 ページ)
2008年のIT業界はどんな動きを見せるのか。技術は? サービスは? 業界再編の動きは? 注目のキーワードをさまざまな統計データをもとに探ってみる。
また、IDC Japanがこのほど発表した国内のASP・SaaS市場の需要動向によると、07年の国内企業におけるASP・SaaSの導入率は5.8%だったものの、今後の利用については前向きに検討している企業が45.6%にのぼり、ASP・SaaSに対する関心が高まっていることを示した。ただし、SaaSは従来のソフトにおけるビジネスモデルを根本的に変えるものだけに、ユーザーにとってもベンダーにとってもメリットがある形でスムーズに移行が進むかどうか、08年はその大きなターニングポイントの年になりそうだ。
メインプレーヤー同士の“大合併”の可能性も
さて最後に、07年にめまぐるしい動きをみせたソフト業界の再編について触れておこう。
07年のソフト業界は、4月に米オラクルが企業業績管理(EPM)ソフトの有力ベンダーである米ハイペリオン・ソリューションズを33億ドルで買収したのを皮切りに、10月には独SAPがビジネスインテリジェンス(BI)ソフト大手の仏ビジネス・オブジェクツを68億ドルで買収することを発表(買収取引は08年第1四半期中に完了する予定)。11月には米IBMがBIソフト大手のカナダのコグノスを50億ドルで買収すると発表した(買収取引は08年第1四半期中に完了する予定)。
さらに10月、米オラクルがアプリケーションサーバなどのミドルウェア大手である米BEAシステムズを67億ドルで買収しようとしたが、こちらは成立しなかった。とはいえ、買収対象にのぼったのはいずれも有力ソフトベンダーである。こうした相次ぐ買収劇に、新たなソフト業界再編の予兆を感じた関係者も少なくないようだ。
見方を変えれば、再編をリードするメインプレーヤーも明確になってきた。オラクル、SAP、IBM、それにマイクロソフトとグーグルの5社だ。さらに今後はこうしたメインプレーヤー同士の“大合併”もあり得るかもしれない。そのダイナミックな動きの可能性を秘めているのも08年の特徴といえそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2008年に注目される10のIT戦略テーマ
ITRの調査によると、2008年のITは、統制と管理のステージを越えて、縁の下の力持ちという存在からビジネス革新の表舞台に押し上げる礎とする企業が増えそうだ。ミドルエイジのスキル不足がもたらす暗い将来、2008年ITベンダー業界予測
慢性的な人材不足が長期化しているIT業界――「大手ベンダーのスキル不足」「若手社員の育成機会の損失」「人材流失の加速」は暗い将来を予感させる。2008年は「教育する側こそがリーダー」との覚悟を持つべきだ。ビジネスとして見るSaaS 2008年はネットワーク効果が鍵
2008年普及のしきい値を超えそうなSaaSが注目だ。プラットフォーム製品として大きく成長するための「ネットワーク効果」の重要性が改めて見直されることになりそうだ。インターネットで加速するコンテンツ経済(前編)
広告をベースにしたビジネスモデルの変化が、コンテンツビジネスそのものに大きな影響を及ぼしつつある。“SaaSバブル”に注意――導入前のチェックポイント
SaaSの登場によって、企業には新しいソフトウェア購入の選択肢が増えた。しかし、NRI主任研究員の城田氏は「冷静にSaaSベンダーを見極める必要がある」と言う。- SFAで熱いバトル勃発!――日本型の営業スタイルを踏襲
なかなか根付かなかったSFA(営業支援システム)が、ここ数年はその投資効果が認識されるようになってきた。この有望市場をめぐって、にわかに熱いバトルが繰り広げられている。 なぜBIが内部統制に役立つのか?
内部統制に求められる要素のほとんどにITが役に立つことは、多くの人が理解できるはずだ。では、どのようなITが内部統制各要素を的確に支援できるのだろうか。- IBM、BI大手のCognosを50億ドルで買収
- SAP、Business Objectsを友好的買収へ
- OracleのBEA買収提案が無効に