インドで台頭するミドルリッチを狙え(1/2 ページ)
極端に高所得者と低所得者に二極化したインドは、日本企業にとってあまり魅力的な市場ととらえられてこなかった。しかし、ミドルリッチ層の台頭は日本企業のチャンスを拡大させているという。
人口11億人を抱える世界最大の民主主義国インド。極端に富裕層と低所得者に二極化した同国は、日本企業にとってあまり魅力的な市場ととらえられてこなかった。富裕層を対象にした高級品市場はあまりに小さく、低所得者向け普及品を現地生産するにも文化的な困難が付きまとったからだ。
だが、野村総合研究所(NRI)の技術・産業コンサルティング二部上級コンサルタントの岩垂好彦氏は「ここ数年で潮目が変わった」と言う。
「日本製品のような高級品に十分に手に届くミドルリッチ層が急速に拡大している。関税も一貫して引き下げられてきており、インドに輸入して販売することも可能になった」
インド国立応用経済研究所のデータを基にNRIが予測したところ、富裕層予備軍となるミドルリッチ層(年収20万-50万ルピー)が急速に拡大しており、購買力が格段に高まってきているというのだ。名目為替レートで60万-150万円、購買力平均レートで250万-650万円の年収に当たる層だ。
2005年に1320万世帯だったミドルリッチ層は、NRIの予測では2015年には4430万世帯と、なんと5年で3倍以上に増加する。現地生産に頼らなくても日本の高付加価値製品がターゲットにできるインドマーケットが拡大している。
ミドルリッチ層の台頭の背景にあるのは、海外からの投資による雇用機会の拡大や、金融業を中心とした支店開設による地方経済の活発化だ。対インド直接投資は、近年大きく伸びており、2006年度は104億6600万ドルに上った。
これに伴い、労働者の給与所得は毎年10〜15%の2ケタで伸び、既にホワイトカラーの給与は20万ルピーを超えている。「エリートだけでなく、幅広い層にミドルリッチが生まれている」というわけだ。
西洋化進むインドのライフスタイル
NRIは、2007年7月15日〜8月15日にかけて、デリー、ムンバイ、チェンナイの三大都市で合計1510件の訪問調査した「インド生活者アンケート」を行っている。そこから分かってきたのは、都市部では核家族化と、ライフスタイルの西洋化傾向だという。
「インドは大家族のイメージが強いが、実際には夫婦と未婚の子供という4人程度の世帯が半数程度を占める。100万ルピー未満の家庭では、3分の2以上がメイドさんを雇っていない」
共働きのため、家事の省力化につながる生活家電などの普及率は高く。また、デジタル機器も3万円を切るような携帯電話やDVDプレーヤーも急速に普及している。
「10万円を超えるような製品が今後の市場となりそうだ」と岩垂氏。
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