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インドで台頭するミドルリッチを狙え(2/2 ページ)
極端に高所得者と低所得者に二極化したインドは、日本企業にとってあまり魅力的な市場ととらえられてこなかった。しかし、ミドルリッチ層の台頭は日本企業のチャンスを拡大させているという。
「安かろう悪かろう」は通用しない
調査から購買行動も見えてきた。専門店でよく価格と品質を熟慮し、長く使える物を買う傾向が色濃く出たという。アフターサービスはあって当たり前で、ブランドの信頼が物を言う。ブランドを確立できなければ安値で売りたたかれかず、「安かろう悪かろう」では通用しない。
「一度インドでの生産から撤退したソニーもブランドショップによる販売網を確立したことが強みとなり、今となっては販売は好調だ」という。これにならい、代理店販売からブランドショップの整備に注力する電機メーカーも増えている。
また、幅広くミドルリッチ層が増えたことで、富裕層をターゲットとしていた過去に比べ、テレビや新聞などのマスメディアの効果も高まっている。販売・サービス体制が整えば、マス広告の大量投下する価値がある、という。
このようなことから、岩垂氏はインド市場での成功の鍵は4つあるとまとめる。
(1)急激な消費市場環境の変化による市場セグメントの見極め
(2)品質と価格設定のバランス
(3)ブランドの構築
(4)サービス体制の確保
ただ、インド市場には韓国企業が先行して普及品のエリアに進出している。ミドルリッチ層の拡大は、彼らにも同様の事業機会となるだけに、今後、ミドルリッチ層を狙った付加価値製品で韓国企業との争いに勝ち残らなければならなそうだ。
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