【第3回】前線からのインプット:米平和部隊のITスペシャリストたち(1/2 ページ)
米平和部隊の国内ITスタッフの15%、海外ITスタッフの2%は、IT技術に関する知識を持ったボランティア出身だ。技術系の学位を持っている人や、技術系分野で部隊に貢献した元ボランティア、民間のIT部門で働いていた人も少なくない。
米平和部隊のHIV/AIDS活動ディレクター、ロン・キャンベル氏は、エド・アンダーソン氏のCIO就任を歓迎する1人だ。4年前、タンザニアのカントリーディレクターだったとき、キャンベル氏は異なるODがインストールされた数台のデスクトップ型「Macintosh」を利用していた。それらはマイクロソフトの「Word」のドキュメントの互換性すらなかった。
Webサイト1つ読み込むのに20分もかかるため、インターネット接続もすぐに切った。だが、30人いたスタッフのうちコンピュータのトラブルシューティングができるスタッフはたった1人だけだったのだ。
キャンベル氏がUSAID(米国国際開発庁)や米国大使館にメールを送ろうとしても、旧型のMacintoshで作成したファイルは2回に1回は壊れ、開くことができなかった。
「本当に気が滅入ることばかりだった」と、キャンベル氏は当時を振り返る。
アンダーソン氏が着任する直前、部隊のパソコンはWindowsに標準化された。またアンダーソン氏の下で、アムダール製の31ビットのメインフレームはUNIX環境へアップグレードされた。アンダーソン氏は現在、全世界で援助活動を行うスタッフが、信頼性の高いコミュニケーションを本部とだけでなく現地間でとれるようにするVPNの導入に取り組んでいる。
キャンベル氏は、スタッフの頻繁な交代がそうしたITの変革をスムーズに進めていると考えている。部隊は定期的に新しい人材を採用している。また、本部で雇用するスタッフの多くは部隊の海外ボランティアを経験している。そのため、本部と現地との間には常に新鮮なコネクションが保たれている。
事実、部隊の国内ITスタッフの15%、海外ITスタッフの2%は、IT技術に関する知識を持ったボランティア出身だ。また、技術系の学位を持っている人や技術系分野で部隊に貢献した元ボランティアに加え、民間のIT部門で働いていた人も少なくない。
援助の現場を直接体験した経験を持つ元ボランティアは、その分野におけるITの活用方法について新鮮なアイデアを持ってやって来る。また、短期間で交代するためスタッフの間で緊張感が失われることなく、なれ合いもなくなる。「硬直的な官僚主義に陥らないという点でも有利だ」と、キャンベル氏は話す。
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