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資生堂・弦間氏が語る 価値あるブランド8つの条件(1/2 ページ)

1872年に日本初の洋風調剤薬局として誕生した資生堂。同社では「品質の良いものを適正な価格で」という創業者の創業理念を実践する際の指針「五大主義」の下、CSR活動やブランド価値の向上に取り組んでいる。

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企業文化に刻まれた創業者の「想い」

 国内で化粧品業界のリーディングカンパニーである資生堂が、1872年に日本初の洋風調剤薬局として誕生したことを知る人は多くはないだろう。

 当時、粗悪な薬が不当に高い値段で売買されていることを目にした創業者の福原有信が「品質の良いものを適正な価格で販売したい」との理念の下に同社を起業した。その後、1888年にペースト状の歯磨き粉を発売することで絶大な支持を得ることに成功。1897年にはついに高級化粧水「オイデルミン」を発売することで、化粧品事業への進出にまでこぎつける。

 現在、資生堂の相談役を務める弦間明氏によると、同社の企業文化には創業者の想いが刻み込まれているという。それは、「先進性・革新性を尊ぶ」「本物を追求する」というもの。

「オイデルミン」
誕生100年を超えて流通する「オイデルミン」(資生堂Webサイトより)

 同社は1902年から米国のドラッグストアを手本に清涼飲料水を提供する「ソーダファウンテン」(資生堂パーラー)を開設。そのために必用な設備を米国から取り寄せたことからも、先進性と本物へのこだわりの一端を見ることができる。さらに、100年以上も昔に発売されたオイデルミンが今でも流通していることは、製品が本物であった証と捉えることもできよう。

 大塚商会は2月6〜8日、ITを活用した業務支援をテーマにした「実践ソリューションフェア2008」を開催。同イベントで「企業経営」と「ブランド価値」をテーマに講演した資生堂の弦間氏によると、企業が活動を展開する上で経営トップの「想い」は、ひときわ重要だという。

仕組みに「魂」を込める大切さ

 企業の目的として一般的に語られるものの1つに「永続すること」がある。そのために、経営環境の変化に対応することが重要なことは改めて強調するまでもないだろう。資生堂でも変化への対応の一環として、急速な成長を遂げる中国において1983年からビジネスに着手した。ただし、変化はリスクであることを忘れてはならない。

 「カントリーリスクなどリスク要因を複合的に捉えると、中国進出はリスクの塊だった。しかし、将来を考えると意義があることでもあった。最終的に進出を決断し、今では中国側の信頼を得るなど大きな成果を上げている」(弦間氏)

 変化への対応にあたって重要となるのが企業のリスクマネジメント体制にほかならない。リスクを取ってでも永続性を担保する能力が企業に問われているわけだ。

 弦間氏によると、リスクマネジメント体制を確立するためには仕組みを作るだけでは不十分。経営トップの「魂」を仕組みに込めて、初めて仕組みが機能するのだという。では、果たして魂を込めるためには何をなすべきなのか。

 「現場では泥水のような情報が、経営トップにまで上がってくる過程で幾重にもろ過され清水になる。これでは現場に即した正しい意思決定を下すことができない。現場の声を自ら聞き歩き、使命と目標を発すること。これこそ魂を込めることにほかならない」

 現場視点を失った経営判断は、現場とのかい離を生み不祥事の温床になる。昨今、コンプライアンスにまつわる不祥事が企業で相次いでいるが、その原因もここにあるのではというのが弦間氏の考えだ。

 コンプライアンスに対する社会的な責任がますます大きくなる中で、それ反する企業活動はブランドイメージを著しく傷つけるなど、企業活動の永続性を大きく脅かしかねない。そこで、企業はコンプライアンス徹底に向け内部統制活動に「自主的」に取り組むことが求められているという。

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