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【第2回】急成長のひずみに目を光らせ、パーソナルな関係をビジネス戦略を実現した辣腕CIOの素顔に迫る(1/2 ページ)

金融サービスのノースショアクレジットユニオンは、パーソナルなサービスを実現し急成長している。CIOのフレッド・クック氏は資金管理の強化に加え、「組合員密着」プログラムによる顧客維持率の向上のたまものだと語る。

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パーソナルなサービスで顧客を獲得する

 ほとんどの中堅企業のCIOと同様に、フレッド・クック氏は、厳しさを増す競争環境の中で自社の成長を支援している。同氏が目指すのは、7700万ドルの年間収入を上げるノースショアクレジットユニオンが市場シェアを伸ばし、新規顧客を獲得することだ。

 「バンクーバーでは、金融サービス機関には攻めの姿勢が欠かせない」とクック氏。同氏がノースショアに入社した03年には、その管理資産は6億ドルだった。現在、管理資産は20億ドルに迫っているが、同年以降の顧客数の伸びは4%にとどまる。この資産の拡大は、資金管理の強化に加え、「組合員密着」プログラムによる顧客維持率の向上のたまものだとクック氏は語る。

 このプログラムは、いくつかの技術を利用したもので、その中にはピボタルのCRM(顧客関係管理)システム、IBMのECM(エンタープライズコンテンツ管理)システム(IBMに買収されたファイルネットの製品)、マイクロソフトのSQL ServerベースのBI(ビジネスインテリジェンス)システムなどが含まれる。業界の平均的な顧客維持率は75%程度だが、ノースショアは90%台となっている。

 「業界各社が同じ財布を狙って競争している。自社がどんな価値を売り物にするのかを明確にしていなければ、顧客を取られてしまう」とクック氏。

 ノースショアの支店を訪れる顧客は、パーソナルなサービスを受ける。ロビーでカプチーノが出され、愛想のよい窓口係が名前を呼んで応対する(そして窓口係は顧客の顔を、端末に顧客情報とともに表示される写真と照合する)。

 クック氏は「われわれは、リテールバンキングサービスに求められる快適さと業務フローを実現した」と語る。

より強力でパーソナルな関係を

フィリップ・チュアン氏
テレケアのフィリップ・チュアンCIO

 小規模組織では、経験豊富なCIOが目を光らせていないと、急激な成長でひずみが生じる場合がある。創業40年で家族経営のテレケアについて見てみよう。

 テレケアは、カリフォルニア州アラメダに本拠を置き、精神医療施設を運営している。年間収入は1億6000万ドルだ。ここ数年で成人向けのメンタルヘルスサービス機関として全米有数の規模に成長し、5つの州に50施設を展開している。

 しかし、こうした規模の拡大とともに、各地の施設と本部の間にすきま風が吹くようになった。「施設の現場スタッフは、本部組織やIT部門に対して疎外感を感じていた」と、CIOのフィリップ・チュアン氏は語る。同氏は06年初めにテレケアに加わった。

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