孤高のモバイル天国に新時代が?:新世紀情報社会の春秋(2/2 ページ)
グーグルが開発したとされる携帯端末のプラットフォーム「アンドロイド」、今年日本国内での発売に注目が集まっているアップル社のiPhoneなど、日本の携帯電話市場は大きな変化の波が押し寄せている。
キャリアと端末ベンダーが特殊な関係
話が出たついでに、今年日本国内での発売に注目が集まっているアップル社のiPhone について考えてみよう。衝撃的な発表から既に1年が経過し、世界の携帯電話ベンダーの商品コンセプトや仕様に大きな影響を与えていることはいうまでもない。
筆者の予想では、仮にいずれかのキャリアからiPhoneが発売された場合、海外で発売されているのと同じビジネスモデルをとるのだとしたら、それはかなりの驚きだと言える。キャリアと端末ベンダーが特殊な関係を持っている現在の日本で、果たしてそれが可能かどうかははなはだ疑問だ。
少し勝手な想像を進めるなら、日本でのiPhoneは本体から通話機能をはずし、データ通信カードが内蔵された情報端末をメインとして発売するというのが一番現実的な選択ではないだろうか。
それでは無線LANを搭載したiPod touchと大きな違いがないのではという意見もあるだろうが、データ通信での携帯電話ネットワークの魅力を最もよく実感しているのは、ほかならぬ日本市場だというのもまた事実だ。通話をしたければイヤフォンとマイクを使えばよい。
既に国内でiPod touchが発売され、それがそこそこの販売を記録している現状を考えるに、当初はある程度の話題になるとしても、それがヒット商品になるとは思えない。
もちろん、そこから発せられる現状の端末やサービスの変革を促す影響力は、かなりのものであることは間違いないが、それはもう既に始まっている。孤高のモバイル大国に接岸した黒船の扉が開かれようとしている。開国はほぼ決まりのようだが、直後の動乱はかなり激しいものになりそうだ。
プロフィール
なりかわ・やすのり
1964年和歌山県生まれ。88年NEC入社。経営企画部門を中心にさまざまな業務に従事し、2004年より現職。デバイスからソフトウェア、サービスに至る幅広いIT市場動向の分析を手掛けている。趣味は音楽、インターネット、散歩。
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