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「速度は守ってるよ!」「だけど逆走ですよ」――プロジェクトが暴走する原因間違いだらけのIT経営(2/2 ページ)

情報システム部門をドライバーにとらえると、悪質な運転はなかなか減らない。また、その自覚もないまま非常識がまかり通っているケースが多い。

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自信過剰の裏側にあるもの

 これらの例は、情シが陥りやすい間違いの典型的例である。

 筆者の経験から言っても、情シは、(1)まず自信過剰で、日常業務に追われるラインを「思慮が足りない」と下に見る傾向があり、従ってマイペースのところがある。まさに、A事業所のC課長が好例だ。(2)逆に、自己卑下をして、受注高や収益などの業績に直接関わる仕事をしているメインのライン部門に対して卑屈になり、自己を殺すところがある。D社の情シが、好例だ。(3)そして、そのいずれにも属さず、自分の考えを持たずに上の方針をただ妄信するケースも見られる。E社のF課長である。筆者は、(1)のケースに多く遭遇した。

 なぜ、彼らはそうなるのか。実は、情シの社内地位が相対的に低いことに原因がある。その裏返しとして、あるいは場合によってはそれがそのまま現れるのである。

 問題は、彼らがその間違いに気づいていないことである。彼らは、リーダーシップをとり、ユーザーを立て、はたまたトップの方針を忠実に実行している「つもり」なのである。

 A事業所の場合、B課長を思い切ってラインから抜いて専従にすればよい。できなければトップが決裁すべきだが、トップを説得するのは、C情シ課長の任務である。

 某零細企業で、部長と女性事務員2人で資材業務を担当していた。IT導入に当って止むを得ず部長が導入プロジェクト専従になったら、女性が1カ月間ほどIT専従になった部長を何処までも追いかけて教えを請うていたが、結局資材員として一人前になった例がある。

 情シには、IT導入に当たって求められる本来の活躍を大いにしてもらいたい。

 しかし、Bを引き抜けずにマイペースに陥ったA社のC課長のように、あるいは「存在価値」のまるでないD社の情シや、「イエスマン」のE社F課長のように、情シ本来の任務を果たすことができなければ、情シは下手に余計なことをしようとせずに、IT導入の「単純な事務局」に徹した方が、害毒を流さずに済み、会社のためになる。

 ドライバーだって、本来のあるべき運転に関わることができないなら、せいぜい近くのスーパーに買い物に出かける運転にだけ専念する方が、世に害を流さないで済むのだ。

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