【第7回】疲弊するIT部門(1)〜殿様IT部門が変われない理由:三方一両得のIT論 IT部門がもう一度「力」をつける時(2/2 ページ)
一般企業へのコンピュータの導入は昭和30年代後半に始まり、日本企業のシステム化の歴史や文化がつくられた。そして今、IT部門は殿様的立場からサービス部門として立場の逆転した。
「オレたちはシステムをつくってやっている。つくってほしいなら、きちんと業務条件をまとめてこい」
それができないならシステムはつくってやらない、と言い切っていた。自分たちには現場の人たちにはできないシステム構築のスキルがある。だから言う通りしないと、システムをつくってやらない。一度決めた条件は変えるな。細かなことで文句を言うな。現場の都合をシステムに押し付けるな。これがシステム部門と現場の関係であった。
現場はお願いをする部門、システム部門はそれをやってあげる部門。俗に言う「お役所仕事」的な部門であった。苦情を言うと、機嫌を損ねるから、少しぐらい使い勝手が悪くても我慢して使おう。無いよりはましだ・・・・・・。
確かにそんな時代があった。この影響が現在のシステム部門と現場のギャップの原因になっている。
時代は変わる システム部門はサービス部門へ
今では、システム部門はサービス部門といわれている。企業の縁の下の力持ち。いかに現場のスピードアップや生産、営業のお手伝いをできるかが使命になっている。
昭和40年代とは立場はまったく逆転した。殿様商売をやっていた国営企業が民営化されるのと同じぐらいのインパクトがあったことだと思うが、企業のシステム部門は民営化宣言をせず、徐々に徐々に立場は逆転した。気が付いたら、業務部門が圧倒的に強い立場になっていたという状況だ。
しかし、団塊世代の先輩方はどうしてもこの事実が受け入れられなかった。最後まで「昔の名前で出ています」状態でマインドを変えることなく引退を迎えていく。その匠で頭の硬い先輩との徒弟関係で育てられた現在のベテラン、中堅社員も、頭では分かっていても簡単に行動を変えることができないのが現実である。お役人からサービス業への職種転換ができないのである。
現場は、恐ろしいぐらいのスピードで外的環境変化に対応しているのに、それにジャストフィットするシステム提供、サービス提供できない理由はここにある。
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