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景気は後退? それとも一時的な踊り場? 実質GDPはプラスの可能性も景気探検(1/2 ページ)

2月末に発表された1月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比2.0%減と2カ月ぶりの減少になった。生産のピークが07年10月分とみて、そこを景気の山とする景気後退説が出てくる可能性がある。

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 2月末に発表された1月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比2.0%減と2カ月ぶりの減少になった。1月分の前月比は製造工業予測指数の0.4%減を下回った。なお、旧方式の季節調整であるX-11デフォルトベースの1月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比0.6%増とこちらは3カ月ぶりの増加になった。季節調整法の違いが結構影響している。

 1月分の鉱工業生産指数・速報値の指数水準(2000年=100)は109.8で、史上最高水準である07年10月の112.2より2.4ポイント低く、07年7月分の108.1以来の低い水準となった。

 生産指数の悪化により1月分の景気動向指数・一致DIの2カ月ぶりの50%割れが決まった。足元の景気のもたつきを示唆する数字と言えるだろう。

1〜3月期は生産がマイナス

 先行きの生産の行方を示す製造工業予測指数前月比は2月分が2.9%減、3月分が2.8%増の見込みだ。鉱工業生産指数を2月分・3月分を製造工業予測指数で延長した場合の試算では1〜3月期は前期比2.5%減になる。生産のピークが07年10月分とみて、そこを景気の山とする景気後退説が出てくる可能性がある。

 しかし、米国経済などの動向にもよるが、今回も一時的踊り場で済む可能性のほうが大きいと考える。

 昨年も1〜3月期は前期比減少であった。今年は4月17日の2月分確報値発表時に、通常年の年間補正に加えて2005年への基準改定も予定されており、その影響次第などでは、もう少し1〜3月期前期比の数字がしっかりするかもしれない。

 鉱工業全体での在庫サイクル図をみると、07年1〜3月期以降10〜12月期まで出荷の前年同期・月比が、在庫のそれを上回っている。つまり在庫を縦軸とした時の45度線を下回っている。08年1月分でも出荷の前年同月比が4.0%増、在庫が同0.5%増だ。鉱工業全体で在庫調整によるもたつきを懸念するような状況ではない。

 1月分速報値段階の景気動向指数先行DIは、30.0%と6カ月連続50%割れとなったと思われるが、プラス符号の中に2カ月連続してプラスの最終需要財在庫率指数がある。このことは在庫調整が必要でない現状を示唆するものと言えよう。また、新設住宅着工床面積も2カ月連続プラスになった。予想外の一時的景気悪化をもたらした建築基準法改正の悪影響は最悪期を過ぎ今後は薄まっていく局面であることを示唆している。

 なお、2月分では日経商品指数が7カ月ぶりにプラスになることが確定したことなどから、先行き、先行DIが50%超になる可能性はある。

観光・レジャーのいい動き

 足元、必要以上に景況感が悪化している感じがするが、ニュース報道の多くが暗い社会現象であることも一因だろう。

 毎年12月12日に日本漢字能力検定協会が取りまとめ発表する世相を表す漢字は、07年は「偽」になった。発表時の清水寺貫主の「このような字が選ばれることは恥ずかしく悲憤に耐えない」という言葉が印象的だった。ちなみに第2位以下第5位までの字は「食」「嘘」「疑」「謝」で食品偽装などに絡んだ字ばかりである。他にいくらでも明るい話題もあり、上位5位の中に別の字が選ばれてもおかしくはなかった。

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