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【第3回】ITIL導入には人員カットの覚悟が必要かサービスマネジメントに新たな波(1/2 ページ)

CIOたちの悩みの種は、ITILの実装によるコスト負担だ。リスクをリターンに変えるには、的確な判断と強い意思が必要だという。

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倹約の背景にダウンサイジングあり

 ITIL(Information Technology Infrastructure Library)の実装化には、それなりの時間が必要だ。サンフランシスコ大学のIT担当副理事、トレーシー・シュレーダー氏は、1年前にITILのサービスサポートを導入し、最近はサービスデリバリの実装化を検討している。シュレーダー氏は63名のITスタッフでチームを編成して、ダウンタイムや帯域幅の枯渇などの高度な測定基準を計算し、何が必要か正確に判断できるようにした。

 「現金化できない小切手にサインしたくはない」とシュレーダー氏。正しいSLAを結べば、ユーザーに提供できること、プロバイダに要求できること、サービスが適正なレベルにないときに出す警告のタイミングなどを容易に判断できるという。

 一方、コストはあらゆるITILの実装化を圧迫する要因の1つだ。ITILのフレームワークはベストプラクティスを解説するものだが、どのように実装すべきかについては言及していない。また最も効率的に実装化した組織ですら、定量化できる結果を得るまでには数年を要する。

 しかし、すでに一部のCIOたちは、初期投資の負担に耐え、ITIL導入による大きな見返りを得つつある。コールドウォーター・クリークのカーパー氏は、100名のスタッフを抱える部門にITILを導入し、人員を50%削減して大幅なコスト削減に成功した。スタッフ数が減ったことにより、ソフトウェアライセンス契約で必要なシート数が減り、3年間で50万ドル以上も節約できたためだ。「われわれは身軽に、そして質素になった」とカーパー氏。

 ビジネスサービスマネジメント会社のマネージド・オブジェクツでサービスマネジメント担当ディレクターを務めるミシェル・ハドナル氏によると、ITIL導入で財務的な成功を収めた企業は、フルタイムの従業員を減らすことでコスト削減を実現しているという。「CIOはプロセスの改善とともにスタッフを削減しないかぎり、ハードダラーを抑制することはできない。言い換えれば、従業員をカットする意思がなければ、コスト削減のためにITILを導入することは、まったく意味がない」と同氏は語る。

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