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再考! 理想のものづくりの手法とは?ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

部品の製造から販売まで一貫して手掛ける垂直統合型のビジネスモデルと、企業同士が手を組むことで市場における規模の経済性を追求する水平統合型のビジネスモデル。果たして、最適なものづくりの手法はどちらなのか?

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デジタル化が変える製造業のあり方

 日本の製造業における欧米企業との差別化要素の1つとして、垂直統合型のビジネスモデルが挙げられる。対して、欧米メーカーの特徴とされるのがアライアンスを通じた水平統合型のビジネスモデルである。

 技術のデジタル化が進みつつある中で、果たして理想とされるメーカーのビジネスモデルとはどのようなものなのか――。

「ビジネス環境の変化を踏まえたものづくりが求められる」と語る脇坂順雄氏
「ビジネス環境の変化を踏まえたものづくりが求められる」と語る脇坂順雄氏

 例えばある者は、技術のデジタル化が進み、同じ部品さえ入手できれば類似の製品を製造することが可能になっていることから、欧米型のビジネスモデルが優位だと主張する。この説の背景には部品、さらに生産技術の共通化が進み、生産工程において製品に価値を付与しにくくなったことで、製品開発やアフターサポートなど、より付加価値を高めやすいプロセスに経営資源を振り分けられる欧米型の方が、業務効率が高いとの考えがある。これに対して、欧米企業における製造技術の空洞化問題を指摘する声がある。さらには、デザインや設計までアウトソースするケースもすでに見受けられるようになったことで、もはや製品の競争力は価格の提供能力だけという主張もある。

水平統合と垂直統合のそれぞれの優位性

 「技術革新の結果、ものづくりの手法が変わったことに加え、産業のグローバル化も進んでいる。そうした環境の変化を踏まえ、改めてものづくりのあり方をとらえ直すことが必要となっている」

 ものづくり論の現状についてこう説明するのはSAPジャパンのインダストリアル戦略本部本部長でバイスプレジデントを務める脇坂順雄氏だ。

 アイティメディアは3月19日、経営者向けに「ITmediaエグゼクティブセミナー」を開催。その特別講演で脇坂氏は各国のメーカーがそれぞれ採用しているビジネスモデルと、それぞれの特徴を解説。日本メーカーにとって、今後、情報の可視化を促進できるか否かを大きく左右する要素になりそうだ。

 脇坂氏によると、水平統合型と垂直統合型のビジネスモデルにはそれぞれ一長一短があるという。例えば、水平統合型のモデルでは確かに製造工程以外の、自社が得意とするプロセスに経営資源を集中させることが可能になるものの、製品を製造するに当たっては他社からあらゆる部品を供給する必要がある。これに対して、垂直統合型では業務効率の点では課題が残されているものの、部品技術を囲い込むことにより部品のコモディティ化を防止でき、他社との差別化を保ち続けることが可能になる。

 「デジタル化が進むほど製品を構成する部品の付加価値が高くなる。部品を囲い込みつつ商品ライフサイクルの短期化を図ることができれば、垂直統合型のビジネスモデルは水平統合型に対して優位性を保つことが可能」(脇坂氏)

 そこで日本企業では海外メーカーに対する自社の競争力を高めるために、系列会社により部品技術の囲い込みが進められてきた。その一方で、付加価値が低いとされる製造工程そのものはアジア諸国に移管し、併せて生産技術を輸出することで高品質な製品を製造できる環境を整備してきた。情報化も着々と推し進め、もはや多くの企業が国内において製造した部品を輸出し、海外工場で組み立て、さらに販売するという一連のサプライチェーンをすべてカバーするシステムを持つのも決して珍しくない。

 ただし、日本メーカーが手掛けたSCMシステムには、その多くに重大な欠陥が見られると脇坂氏は指摘する。

 「システムを見ると、確かに個々の工場レベルでは非常に最適化されたプロセスが確保されている。ただし、SCM全体で見た場合には、各業務プロセス間で情報が断絶され、本社が海外工場で何が起きているのかをリアルタイムには把握できない状況に陥っている」(脇坂氏)

 例えば、工場レベルではわずか2時間後の生産計画を変更できるレベルにまで業務の最適化を実現したとしても、生産量を決定する本社は日報をベースに日単位で生産量を決定するため、柔軟な生産調整が行えていないケースが少なくないのだという。

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