経営者はCIOやIT部門に何を期待するか:Gartner Column(2/5 ページ)
ガートナー ジャパンの小西一有です。「経営とITの関係を改善する」という難解なテーマについて、調査結果を基に読者の皆さんに説明したいと考えています。
CIOへの期待
2つ目の特徴は、ランキングベスト10の中に「顧客」というキーワードの入った項目が3つもあることです。この傾向は昨年、おととしにはありませんでした。経営者は、競争優位を確立するためには、顧客に選ばれる企業にならなくてはならない。少なくとも競合他社を選ぶのではなく、自社を選んでもらえないと競争優位を確立することはできないと考え、そのような競争力(これを、エンタープライズ・ケーパビリティと呼びます)を創造する任務をCIOに期待しているのです。
表1のランキングが裏付けています。特にグローバル企業には、経営トップ自身が自社の方向性(ビジョン)を明確に打ち出す文化があります。CEOがCIOを含む上級エグゼクティブに期待の程を明確に語るのです。
実際にCOOやCFO、CIOの立場でも「わたしのゴール(目標)」が明確になっていないと辛いと思います。CxOクラスは、必ずしも生え抜きでそのポジションを獲得したわけではなく、決められた時間内に所定の結果を出さなければ、即刻解雇されることも覚悟しなくてはなりません。
ポジションを与えてくれた人(通常は上司)に「わたしは何時までに何をすることが課されますか?」「あなたから、わたしに対する期待は何でしょうか?」と明確にたずねるわけです。日本にはあまりない文化だと思います。
「○○君、あしたからCIOを務めてくれないか」と言われたら何と答えますか?
「ありがとうございます。精一杯頑張ります」と返答するのではないでしょうか。何に一生懸命頑張るのか、分からないですよね。残念ですが、これが多くの企業の実情だと考えられます。
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