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コラム

経営者はCIOやIT部門に何を期待するかGartner Column(4/5 ページ)

ガートナー ジャパンの小西一有です。「経営とITの関係を改善する」という難解なテーマについて、調査結果を基に読者の皆さんに説明したいと考えています。

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CIOの生まれと育ち

 CIOの(会社の中での)生まれ・育ちにより、考え方は大きく変わりますが、情報システム一本で就任したCIOは、新しいテクノロジーを駆使してコストを下げることを第一に考えます。例えば、専用線の統合、品目の変更によるコスト削減、ストレージの統合、データセンターの統合などです。

 ビジネスを知っている他部門からやってきたCIOは考え方が違います。テクノロジーよりも先に、ビジネスそのものの最適化を目指そうとするのです。テクノロジーによるコスト削減は、すぐに限界が見えてしまいます。せいぜい統合による合理化くらいしか打つ手がないからです。

 ビジネスプロセスの改善は違います。ビジネスの運営コストに直接的な影響を及ぼしますから、コスト削減効果は絶大です。ビジネス部門にとっても大変分かりやすいです。

 ここがポイントですが、ビジネス部門にとって分かりやすいということは、経営者にとって心地良いものです。経営者とITの関係を改善するためには、経営者が心地良いと思うことを実行する必要があります。つまり、ビジネスプロセスを改善することをIT部門主導で実行できれば、経営とITの関係は改善の第一歩を踏み出すことができるわけです。

 2005年以降は、CIO/IT部門は、ビジネスプロセスの改善を経営者の意向に沿って進めていくようになりました。ところが、ビジネスそのものは、テクノロジーの革新スピードでは追いつけない速さで変化します。しかも、変化は強烈です。その度にプロセスの見直しに迫られます。複雑化したビジネスプロセスを改善し、コスト削減に注力していた企業は、プロセスベースの考え方の戦略的な価値を大いに認め、ビジネスモデルそのものの変化にも大胆に挑んでくるようになりました。

 つまり、最近の「ビジネスプロセスの改善」は、コスト削減ではなく、戦略(競争優位を確立するため)的な位置付けで実行されていると考えるのが妥当と考えます。

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