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そもそも何かがおかしい――役員が社内で長時間PC麻雀間違いだらけのIT経営(3/3 ページ)

Web2.0、はたまた3.0という時代に社内のインターネットによる情報収集を禁止している企業が、まだまだある。禁止か開放か、時代錯誤さえ感じるテーマから見えてくるものは、やはり企業風土の持つ重みだ。

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問題を最小限に抑える方法

 C社の場合も、私的利用を禁ずる手はいくらでもある。例えば、社外への送信は登録アドレスに限定するか、さもなくばccを部長宛に送信することで許されるという規制を設けた企業もある。実はこの場合は規制によって職場が息詰まるということで極めて不評だが、企業によってはメールの私的利用を規制すると発想が萎縮するとして、むしろ自由奔放にすることで創造的発想が期待できると、一切規制をしていないケースもある。

 A社・C社共にあれこれ迷っているよりは、前に進めば良いではないか。

 しかし、情報漏えいにしても私的利用にしても、小手先の規制ではモグラ叩きと同じである。従業員の質、企業の体質が問われるテーマである。例えば、上の例で勤務時間中にPC麻雀に興じていたという役員がいるような企業は、本質から腐っている。そんな企業では、どんな手を打っても、私的利用も情報漏えいも少しもなくならないだろうし、そもそも手を打とうとする才覚さえないだろう。「そんな大げさな」と思われる読者もいるだろうが、会社の退廃はそうした「PCの利用レベル」から始まるのだ。また、こうした腐り具合というのは、たまたまPCが入っているから、そうした形で顕在化されただけで、社内にPCが1台もなければ、別の形で腐りぐあいを見事に象徴する現象が出てくる。

 企業体質を問うならば、CSRとコンプライアンス(単なる法令遵守ではなく広義の意味で)とを、企業風土として定着させなければならない。そのためには、トップを始めとする経営陣から従業員にいたるまでCSRとコンプライアンスが身に染み付き、力を入れなくても自然にふるまいに出てくるようになるまで、研修やOJT、あるいはあらゆる場を使って叩き込まなければならない。その結果、枯れ尾花に怯える必要もなくなる。 

 その上で始めて、いろいろな規制が生きてくる。そういう基本的なところを手付かずで規制をかけても効果はなく、モグラ叩きになるだけである。

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