【第2回】新時代の省エネ戦略が始まった:消費電力と闘うCIO(2/2 ページ)
環境対策に向けて企業の電力コストやCO2排出にメスが入る中、ベンダー側も“地球に優しい”ツールやサービスを提供したり、グリーンITを積極的に推進するコンソーシアムを立ち上げたりするなどして、新たな戦略を打ち出している。
冷却用電力は電力消費のなんと37%に上る
サーバについて言えば、ブレードサーバがデータセンターに高度なレベルの密度とエネルギー効率をもたらした。しかし逆に、こうした高密度化では、非常に狭いエリアで膨大な排熱が発生する。ブレードをオーバーヒートから救うためには、効率的な排気と冷却が不可欠だ。エマーソン・ネットワーク・パワーのレポートでは、効率的に設計されたデータセンターにおいてさえ、全電力消費量に占める冷却用電力の比率は37%に上るとしている。現在のデータセンターのブレード率は35%程度にとどまるが、メーカー各社は管理性と冷却方法の改善により、その比率を2倍に伸ばしたいと考えている。
もちろんデータセンターは、ブレードだけで構成することはできない。その発熱を無視することはできないからだ。
ヴィージャス・エンタープライズの新しいデータセンターは、空調のために穴の開いたタイルを敷き詰めた二重床になっている。タイルの下は通路のように仕切られ、そこに流される冷気が建物の隅々まで広がる仕組みだ。
仮想化もデータセンターの冷却に重要な役割を担っている。「ホットスポットをなくし、長期間稼働していないシステムを特定して負荷を移動したり、あるいは完全にシャットダウンするなどして、エネルギーの効率的な利用が可能になる」とIBMのレクナー氏は言う。
省力化の方法は?
サーチデータセンター・ドットコムがデータセンター管理者374人を対象に実施した最近の調査によると、データセンターの成長を阻害する最大の要因は、スペース不足、次に電源容量、そしてネットワーク帯域、冷却能力と続く。省エネ面では、次のような調査結果となった。
50%+ サーバ仮想化によって省エネを達成した
32% 床下空調の効率性を改善した
17.5% 非稼働サーバの電源を落とすように設定した
11% データセンターに直流電力の導入を検討した
7.7% データセンターに液体冷却システムの導入を検討した
27% データセンターのエネルギー消費を最小化する手段をなにも取らなかった
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