企業変革には文化の共有と適切な報酬が不可欠――Autodeskのフェロー:Executiveインタビュー(1/2 ページ)
経営や業務プロセスなどビジネス上で目に見えないものを「見える化」して、イノベーションを促進する企業が増えている。Autodeskではデザインスタジオから学んだ手法で社員のアイデアを可視化するという。
2Dおよび3Dソフトウェアを軸に建築、製造、設計など多分野にビジネスを広げる米Autodesk。特別研究員(フェロー)として同社の戦略プラン、商品開発から設計、マーケティングまでを担当するトム・ウージャック氏は、さまざまな業界の経営者やクリエイターとの交流を通じて、企業にイノベーションをもたらす方法論を確立した。その取り組みを同氏に聞いた。
――フェローとは一般に研究職に与えられる称号を指しますが、Autodeskのフェローとしてどのようなことに従事していますか。
ウージャック 企業のイノベーション(変革)をより促進することに焦点を絞った活動をしています。具体的には、ゲーム、映像、自動車、製造などの業界の経営層と、例えば、次世代のゲーム開発者をどう育てるか、数十年後のデザインスタジオはどうなるかといった将来の展望や実践方法について議論します。そこから出てくる優れたアイデアを集約して、教育機関に提供したり、変革や戦略を可視化するための方法論である「Visualization University(VU)」に取り入れたりしています。
――VUについて具体的に教えてください。
ウージャック 簡単に言うと、参加メンバーが自分自身の考えを紙やディスプレイに書き込んだり、写真や図面を使ったりして可視化する手法です。アウトプットは部屋の壁一面に張り出します。全員が協力して作業することで、チーム意識が生まれるし、変革や戦略といった目に見えないものに対して共通の認識を持つことができます。また、アイデアを可視化することで分析やシュミレーションが容易になり、ビジネススピードを高めることにつながります。
現在は社内の一部で実践しています。Autodeskの戦略や目標だけではなく、そこに盛り込まれる1つ1つの要素をより深く理解し、顧客、競合、市場、グローバルでのトレンド、ビジネスモデルを視覚化して解析しています。
――この取り組みはいつごろから行っているのですか?
ウージャック (米Alias*に在席していた)12年ほど前から取り組んでいます。もともとは顧客のデザインスタジオから学んだ考え方で、その後数十社の顧客のデザインプロセスを統合してベストプラクティスを作りました。今後はAutodesk社内の多くの部門で実践して、より変革を促進していきたいです。
――企業にとって変革は重要だと思います。ウージャックさんにとって変革とはどのようなものですか?
ウージャック 新しい価値や創造性をつくるプロセスであり、そこから出てくる成果だと考えます。そのためにはイマジネーション(想像力)が重要です。例えば、衝突の直前に警報を鳴らすなどして事故を回避するシステムを搭載した自動車がつくられていますが、こうした革新的なアイデアは想像力がなくては生まれません。変革と想像力は切り離せません。
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*1… 3Dソフトウェア開発会社。2006年1月、Autodeskによる買収が完了。
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