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投資家の信頼獲得に向け、システムに求められる機能とは?ITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

財務担当者は経理・財務取引の処理だけに従事していればいいという時代は終わる。今後は、ITを活用して内部統制の整備と収益向上の貢献というビジネスに直結した取り組みが求められるという。

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企業価値の向上に向け財務以外への配慮も不可欠

 財務報告の正当性を法的に担保するため成立した金融商品取引法(J-SOX)。この4月の新年度から、上場企業には内部統制報告書の提出が一斉に義務付けられ、上場企業の多くが現在、初の業務プロセスと内部統制にまつわる文書化の作業にあたっている。

 ただし、投資家の視点で考えれば、財務報告が正確に行われているだけでは投資先として適切とみなすことはできない。そのための判断材料は、リスクマネジメント体制や経営ビジョンなど極めて広範にわたる。すなわち、経営陣には自社の企業価値を高めるために、それらも考慮に入れた対応が求められているのである。

 6月27日に開催された経営層向けセミナー「第5回 ITmediaエグゼクティブ セミナー」では、SAPジャパン ソリューション本部エンタープライズマネジメントFCMの羽仁亨氏が「投資家に安心感を与える企業統治の実現に向けて」と題した講演を実施。SAP製品がそれらの課題解決をどのように支援できるのかについて解説した。

SAPなどの製品群によりイレギュラーな業務を防止

 市場のグローバル化や法令順守を求める声の高まりなど、企業の経営管理に対する圧力は着実に高まっている。それは、CFO(最高財務責任者)の意識の変化からも読み取ることができよう。従来、経理財務部門は経理・財務取引処理にのみ責任を負うと考えられてきた。だが、羽仁氏によると、米国では3年以内に「経理・財務取引処理」から「ビジネスへの知見」に対してCFOがより重きを置こうとする動きが顕在化してきているという。

SAPジャパンの羽仁亨氏
SAPジャパンの羽仁亨氏

 「もはやCFOといえどもビジネスと無関係でいることはできない。統制の整備と収益への貢献という2つの課題への対応が企業に求められていることは、CFOの意識の変化からも明らかだ」(羽仁氏)

 では、まずSAP製品は企業の課題解決にいかに活用できるのか。その点について羽仁氏は(1)内部統制の整備、(2)リスクマネジメント、(3)経営ビジョン、の3つの側面から説明した。

 まず、(1)にまつわる課題解決を支援するにあたって鍵を握るのが、同社がこれまで提供してきたERPシステムやNetWeaverなどの製品群である。

 内部統制の実施基準を見ると、IT統制の整備にあたっては入力情報の完全性、正確性、正当性などを確保する統制に代表される「ITに係る業務処理統制」と、ITの開発、保守にかかわる管理をはじめとする「ITに係る全般統制」の整備が企業に求められている。

 実は同社の製品群は社内のリソースを厳格に管理するために、ビジネスプロセスと統制の双方にまつわる正確性を担保すべくこれまで機能向上が図られてきた。羽仁氏によると、それらを用いることで日々の通常業務をルールにのっとり厳密に仕組みを構築でき、ひいてはIT統制のみならず内部統制の構築につなげることができるのだという。

 「従来から当社では、業務プロセスという考えを念頭に、イレギュラーな処理が行えないようにするために製品を開発してきた。加えて、業務プロセスなどのモニタリング機能を備えた製品を新たに開発することで、内部統制体制の構築を支援できる体制を整えているのだ」

 同製品群を利用すれば、取引データの追跡(トレース)も容易に可能。入力に誤りがあった場合には、販売や購買、在庫管理といった各モジュールにまたがった取引であっても、マウス操作だけで容易に画面を変更し内容を修正することができる。「SAP NetWeaver Identity Management」を利用することで社員のID管理を一元的に実施でき、前者レベルのアクセス管理リスクを軽減させることもできる。

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