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緊急を要するカーボンリスクへの対応――今こそマネジメントパワーを環境経営とリスク対応

地球温暖化、エネルギー価格高騰――。深刻化の一途をたどるこの問題が今、企業経営にとっての大きなリスクとなってきている。いわゆる「カーボンリスク」だ。さまざまな法規制も進む中、企業にとっては、早急な対応が必要となってきている。その支援にいち早く乗り出したのがアビーム コンサルティングだ。同社では企業レベルでの対策が進んでいる、オーストラリアの事例などを紹介するセミナーも開催するという。

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マネジメント面の課題への気付きが、前進につながる

 「省エネについてはすべきこと、考えられることはすべてやってきているから、これ以上はもうできない」という声がよく聞かれる。しかし、本当にそうなのだろうか。

 「確かに技術というハード面ではそうかもしれない。だが、マネジメントというソフト面ではまだまだすべきことがあるのではないだろうか」とアビームコンサルティングで社会基盤・サービス統括事業部エネルギー担当シニアマネジャーを務める山本英夫氏は話す。「ほとんどの企業が、そのことに気付いていない。そこに現状認識の大きなギャップがある。まずどこに課題があるのかをぜひとも客観的に把握してもらい、新たな“気付き”を得てほしい」(山本氏)

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アビームコンサルティング シニアマネージャー
社会基盤・サービス統括事業部
エネルギー担当 山本 英夫氏

 省エネ法や温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)の改正により、エネルギー使用量やCO2排出量の報告義務が事業所単位から企業単位になるからだ。さらに東京都が、国に先駆けて排出量取引制度を導入することを決定していることも背景の1つだ。

 「投資家や顧客が、企業の地球温暖化および省エネ対策にどれくらい真剣に取り組んでいるかによって、その企業のブランドを評価する傾向も見られるようになった。省エネ対策も含めたリスク対応は当然、総合的に企業の経営に大きく影響してくる。こうした、いわゆるカーボンリスクにどう対応するかということが、非常に重要な経営課題になってきているのだ」と山本氏は強調する。

まずは的確に現状を把握することが肝心

 では、カーボンリスクに対応するにはどうしたらいいのだろうか。最も肝心なことは現状の把握だ。

 「何よりもまず製品やサービスのライフサイクルおよびサプライチェーンのどの過程で、どれくらいのエネルギーが使用され、CO2が排出されているかを的確に把握する必要がある。これは、環境省や経産省が推進しようとしているカーボンフットプリントに対応するためにも不可欠です」(山本氏)

 現状が把握できると、今後の外部環境の変化に応じて、どこに、どんなリスクや収益を伸ばす機会があるかを評価できる。そして、その評価に基づき、マネジメントおよび技術改善による省エネ、CO2削減策のみならず、競合他社との差別化のための環境配慮型サービス提供など新たな収益向上策の具体的な目標や戦略を決定し、優先順位をつけて、着実に実行に移せることになる。

 こうした取り組みでは、全社レベルでの正確なエネルギー使用量・コストおよびCO2排出量情報を管理する仕組みも必要になる。山本氏は「今後、エネルギーやCO2の情報は財務的にも大きなインパクトを持つようになるので、しっかりとした情報システムを構築する必要がある」と説明する。また今後、再生エネルギーの利用や排出量取引なども法的にCO2を削減することと同等に評価されるようになるので、オフセット対策の検討も欠かせない。

 「最終的には、全社レベルでのデータを集約して、常に進捗状況を把握ができるようにし、継続的にフィードバックしていく仕組みを作る必要がある。そうしないと、今後の不確定要素が多いカーボンリスクには対応できない」(山本氏)

 省エネ法に基づくエネルギー管理指定工場の対象となる事業所をもつ産業部門・業務部門の企業では既に事業所ごとに管理標準を策定して、それに基づいてエネルギーを管理する体制が整えられている。しかし、その管理体制は、管理のレベルがどの程度のものかは外部からは現状では分からない。

 「そのレベルを目に見えるものにして、継続的に改善されていくような仕組を企業レベルに根付かせる必要があります」と山本氏は指摘する。

 一方、現時点で事業所の規模がエネルギー管理指定工場の対象にならない企業では、エネルギーの使用量やCO2の排出量に関しては、データさえ収集していないところがほとんどだ。

 「データが収集できていなければ、現状把握ができない。まずはそこから始めなければならない」と山本氏。

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              アビームコンサルテングの考えるカーボンリスク対応アプローチ

エネルギー/カーボンマネジメント支援サービス

 アビームコンサルティングは企業にしっかりとカーボンリスクに対応してもらうために、オーストラリアのEnergetics社と業務提携し、新しいサービスの提供を始めた。エネルギーマネジメント診断、エネルギーマネジメント改善コンサルティング、エネルギー・CO2データ管理支援という3つのサービスからなる「エネルギー/カーボンマネジメント支援サービス」だ。

 Energetics社は、オーストラリアにおけるカーボン・エネルギー・マネジメントに関する専門のコンサルティング企業であり、同国の大手企業におけるカーボン・エネルギー・マネジメント支援ならびに、連邦政府および州政府における法規制整備の支援について数多くの実績がある。エネルギー価格の高騰による経済的打撃は全世界で進行しているが、オーストラリアでは、既にグループ企業を含む企業全体での、省エネ対策およびCO2排出量に対する具体的な報告義務を課しており、いわば最も厳しい法規制を企業に課している国だといえる。

 こうした法規制強化による企業レベルでの報告、排出権取引の導入などCO2排出削減に向けた規制は年々強化されてきており、日本よりも早くカーボンリスクが現実のものとなっている。当然、日本よりもカーボンリスクに対する意識が高くなっており、幅広い企業や政府機関などがEnergetics社のエネルギーマネジメント診断サービスやエネルギーデータ管理支援サービスを積極的に導入している。

 「日本では、法規制がどこまで厳しくなるかはまだ分かりませんが、オーストラリアの企業はより厳しい状況の中でカーボン戦略を構築してきており、その部分については、日本企業の皆様にとって非常に有益なノウハウとなります。われわれは、サービスをPRするよりも、まずは各企業の経営層の皆様に企業レベルでのカーボン戦略構築の前提になる情報を提供することによって、今後カーボンリスクにどう対応すべきかを考えるきっかけをご提供していきたい。この9月に開催するイベントの目的もまずは啓蒙活動を主と考えています。法規制はいろんなところにインパクトを与えるので、それをどう調整するかが最も難しいところです。言い換えれば、グランドデザインが必要になるということであり、企業の経営層の方に真剣に取り組んでもらいたい」と山本氏は話す。


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提供:アビーム コンサルティング株式会社
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia エグゼクティブ編集部/掲載内容有効期限:2008年8月31日

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