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「産学官のリーダーらに変革を促したい」とIBMのコージェルGM(1/2 ページ)

企業の競争優位の頼みは「人材」だが、IT分野における日本の人材不足はいっそう深刻だ。21世紀に求められる新たなITスキルについて産学官共同で考える人材育成フォーラムを世界各地で展開しているIBMのコージェルGMに話を聞いた。

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グローバル化が進展して世界がフラットになると、企業の競争優位の頼みは「人材」だけになる。既に多くの日本企業がこの課題に気づき、その深刻さに頭を悩ませているに違いない。IT分野でも、インドや中国を尻目に、日本の人材不足は深刻だ。企業が事業を運営する上でITが欠かせないことは言うまでもなく、その優劣が競争優位さえ左右する。経営者はビジネス戦略の迅速な実現を情報システム部門に求めるが、適切なIT戦略を立案し、さらに経営への戦略的提言を行える人材は少ない。21世紀に求められる新たなITスキルについて産学官共同で考える人材育成フォーラムを世界各地で展開しているIBMのソフトウェアグループでISVと開発者を担当するジム・コージェルGMに話を聞いた。


1975年入社のベテラン、コージェルGM

ITmedia IBMは、今後求められるITスキルについて産学官共同で考える人材育成フォーラムを世界各地で展開していますが、先ずはIBMと大学との関わりについて教えてください。

コージェル 大学は、IBMにとっては製品やサービスの市場であるとともに研究のパートナーでもあります。コロンビア大学にワトソン・ラボを開設したことはよく知られています。IBMの初代社長、トーマス・ワトソン・シニアが評議員を務めた関係もありました。

 また、大学に対する新しい要請としては、IBMのニーズを満たす人材育成があります。

 われわれは、世界中で最もふさわしい場所にそれぞれの機能を分散させ、適正な場所で、適正な時期に、適正な価格で経営資源を最適化する企業、つまり理想のグローバル企業を「グローバル・インテグレーテッド・エンタープライズ」と呼び、われわれ自身もその実現を目指しており、それを実現する人材を求めているのです。

 これまで大学は基礎研究に力を注いできました。コンピュータサイエンスの基礎研究に代わるものはありませんが、その土台の上に時代が求める新しいスキルの養成も欠かせないと考えています。

ITmedia 例えば、どんなスキルでしょうか?

コージェル 「システムのモダナイゼーション手法」といったIT分野はもちろんですが、「既存顧客を対象にした新しいマーケティングサービス戦略」といったようなほかの分野のスキルも考えられます。IBMでは、基礎研究に取り組む学生らに対して、大学がさまざまな分野のスキルを与えられるよう支援しています。スペインの薬科大学では、Web2.0分野のスキルを養成する講座をIBMが支援している例もあります。

 しかし、IT業界の将来を担う人材の不足は深刻さをさらに深めています。米国の大学では2004年、コンピュータサイエンスを専攻する学生が2000年と比較して32%も減りました。また、5月中旬のNew York Timesは、「ハイテク日本で技術者不足」の見出しを掲げて、日本の学生の「理系離れ」を報じています。世界各地で開催する人材育成フォーラム(6月3日には東京でも開催)は、新しいIT人材の育成に向け、各地域の産学官のリーダーらに変革を促すのが狙いです。

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