商談進捗を正確に把握し現場への適切な指示を:営業力強化(1/2 ページ)
営業の現場だけでなく、すべての部署でありがちなのが「商談報告の見過ごし」。単なる不注意も度重なれば、大きなロスにつながってしまう。
効果測定
営業報告に費やす時間が3分の1に
導入前の課題
既存のシステムでは、営業活動のプロセスが把握できず、担当営業にタイムリーな指示を出せないケースがあった。
既存のシステムがブラックボックスになっていたため、これ以上の改良にはかなりの時間や工数がかかることが予想された。
導入後の効果
商談の進捗がタイムリーに把握でき、マネジャーから担当営業に適切なサジェスチョンが出しやすくなった。
マネジャーが担当営業に的確な指導をしているのかどうかという評価を役員がしやすくなった。
メールなどでの営業活動報告に限界が
富士通ミドルウェアは、1993年に富士通のソフトウェア開発部門から独立して誕生したソフトウェアの専門販売会社だ。同社の強みは、単なる販売会社ではなく、富士通開発部門と密接に連携しながら、アプリケーション・プラットフォーム「Interstage」や統合運用管理ソフトウェア「Systemwalker」などの主要製品を供給できること。現在は富士通製品をパートナー製品と組み合わせて提供するパートナービジネス、パートナー製品を富士通へ流通させるプロダクトビジネス、エンドユーザーのニーズに応えるソリューションビジネスの三つを柱に事業展開している。
同社は2006年12月にオンデマンドCRMサービス「Salesforce」を導入。営業現場から役員までの情報共有化を進めて、営業力強化を図っている。
同社は8年前に手組みで商談管理システムを構築。ただ、そのシステムは予実管理が中心であり、商談の結果しか把握できないことが課題になっていた。例えば本来は4名のSEが必要な案件を、担当営業が2名と見込んで商談を進めていた場合、マネジャーの的確なサジェスチョンが必要だが、予実管理中心の商談管理システムでは、そのチェックが難しかった。
営業活動の報告には、各グループでメールとグループウェアを活用していた。ただ、どちらも一長一短。例えばグループウェアのフォーラム機能は、新しい報告を上司に通知する機能がないため、マネジャーが自らチェックしなければ、気付かずに放置されてしまう恐れがある。一方、メールはタイムリーに届くが、数が増えてくると、断片的に報告される内容を時系列で整理して把握するのが難しくなってくる。
また、商談管理システムそのものも、決して使い勝手がいいとは言えなかった。商談検索機能が弱く、企業名でソートして整理することができなかったり、半期単位でしか一覧表示できず、それ以前の商談を含めてみたい場合は、出力後にマニュアルでまとめる手間がかかった。コーポレートマネージメントグループ統括マネージャー&CIOの井谷正彦氏は、こう振り返る。「既存のシステムは、すでにブラックボックスになっていました。今後のことを考慮しても、継ぎ足しで改良していくより、新たにSFAを導入したほうが良いと判断。そこでいくつかのツールを検討して、Salesforceを選びました」
同社は2006年8月から5名のグループに対して、「Salesforce」をテスト的に導入。営業現場と運用側からあがってきた要望を開発に反映させて、12月から本番稼働を開始した。使い慣れた既存のツールから新しいツールに変わることに対して、担当営業から不平が出ることも予想されたが、テスト導入で現場の要望をできるかぎり反映させたこと、また初期段階は入力項目を既存ツールとほぼ同じにしたことによって、大きな混乱もなく定着した。
一方、マネジャー側にもすんなりと定着。もともとマネージング機能が充実していたこともあるが、営業グループ営業統括部第三営業部マネージャーの和藤守光氏は、もう1つの理由を次のように明かす。
「あるマネジャーは取引先名から数字を見たい、別のマネジャーは担当営業者名から数字を見たいというように、マネジャーによって自分の見たいリポートの形は違います。Salesforceは、それを自分で簡単にカスタマイズできるのが魅力でした」
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