ニッポンのお家芸、「カイゼン活動」がBPMの本質:BPMプロジェクトの成否を分けるものは?(1/2 ページ)
「BPMは幅広いマネジメントの原則だが、中でも最も重要なことは、できるだけスピーディーにプロセスを“カイゼン”することだ」と Software AGのガリメラ副社長は話す。
「BPMは技術の問題とは捉えていない。むしろ、課題を解決していこう、マネージしていこうという考え方だ」── こう話すのは、今週、都内で「ビジネス・イノベーション・フォーラム」を開催するSoftware AGのキラン・ガリメラ副社長だ。彼は、同社のwebMethods事業部門でBPMソリューションを担当しているが、かつてはゼネラル・エレクトリック(GE)の関連会社でチーフアーキテクトやCIOを務め、BPMプロジェクトを率いた経験を持つ。
ご存じのとおり、BPM(Business Process Management)は、1980年代には提唱された、どちらかというと歴史のある経営コンセプトであり、技術領域でもある。ツール群は、プロセスの分析や設計のためのモデリングツールもあれば、実行や管理のためのワークフローシステム、システム同士をつなぐEAI(Enterprise Application Integration)など、実に多岐にわたる。
歴史のあるBPMだが、積極的に取り組む企業は必ずしも多数派だったとはいえない。技術が未成熟だったこともあるし、ガリメラ氏によれば、欧米企業や日本企業を問わず、「技術を技術としてだけ導入したため、多くが失敗した」という。
「どの企業も、生産性を高めてコストを抑えつつ売り上げを増やすことを考えているはず。BPMはそうしたマネジメントの原則だ」(ガリメラ氏)
BPMで重要なことはスピーディーな「カイゼン」
GEでユーザーとしての経験を持つガリメラ氏は、BPMを次の2つの側面から捉える。それは、「ビジネスプロセスをいかに改善していくか」と「既存のビジネスプロセスの実行をどのように管理していくか」の2つだ。
「BPMは幅広いマネジメントの原則だが、中でも最も重要なことは、できるだけスピーディーにプロセスを“カイゼン”すること。今や5年計画はあり得ないし、2年として同じことをやっている余裕はない」とガリメラ氏。
そして、読者はもうお気づきだろうが、改善を実際に実現するのは、ITではなく、日本の品質管理(QC)活動を範とした「シックスシグマ」(Six Sigma)やトヨタ生産方式を研究して体系化した「リーン生産方式」だ。
シックスシグマは、1990年代半ばにGEで全社導入され、さらに磨きが掛かった。ガリメラ氏もGEの関連会社で働き、シックスシグマやリーンによって継続的な改善を実現し、ワークフローシステムやEAIツールなどでプロセスを具体的に実装する経験を積んだという。
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