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エド・はるみが景気回復に貢献? 厳しい環境下明るい材料も景気探検(1/2 ページ)

米国の不況や原材料の高騰の煽りを受け、一段と冷え込む日本経済。そうした中、意外な人の頑張りが景気回復に影響を与える可能性もあるという。

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景気のけん引役不在で後退局面に

 4〜6月期の実質GDP(国内総生産)・第1次速報値は、前期比0.6%減、前期比年率2.4%減となった。4四半期ぶりの減少だ。現状は景気後退局面にあるとみられるが、そうした見方を支持する数字と言えよう。

 4〜6月期の法人企業統計調査の全産業・設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)は、前年同期比7.6%減と5四半期連続の減少、しかも1〜3月期の同5.3%の減少からマイナス幅が拡大と、事前の改善予想に反し厳しい内容になった。法人企業統計は、GDP第1次速報値では0.2%減と小幅マイナスの伸び率だった実質の設備投資・前期比の大幅下方修正要因になったようだ。

 4〜6月期の実質GDP・第2次速報値は、法人企業統計が発表された9月5日時点で、前期比1.1%減程度、前期比年率4.3%減程度になったと予想される。GDPは足元の景気の厳しさを一層大きく伝える数字になった。

 第1次速報値ベースで4〜6月期GDPの特徴を指摘しておこう。個人消費、設備投資、輸出といった主要な需要項目が前期比マイナスになったことで、4〜6月期は景気のけん引車が不在だったことが裏付けられる。これまで景気のけん引役だった輸出の前期比寄与度は0.4%減と、米国向け輸出の減少などを主因に13四半期ぶりの前期比マイナスに転じた。

のしかかる米経済の悪化と原油高騰

 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題などをきっかけに変調をきたした米国経済は、住宅・金融・雇用といった分野中心に厳しい状況になっている。例えば、8月分の雇用統計で、失業率は6.1%と7月の5.7%から0.4ポイント悪化し、2003年9月(6.1%)以来約5年ぶりの高い水準となった。また、非農業部門雇用者数は、前月比8万4000人の減少となり、2001年10月〜2002年5月以来6年3カ月ぶりに8カ月連続のマイナスを記録した。雇用の悪化に歯止めがかからなくなっている現状を改めて裏付けた数字だ。

 日本のGDP4〜6月期第1次速報値の交易利得・損失は、季節調整済み年率換算の金額で28兆円の流出である。GDPに対する前期比寄与度は0.4%減だ。輸出デフレーターが前年同期比3.8%低下なのに対し、輸入デフレーターが原油価格高騰などで前年同期比9.9%の上昇となっていて、この大幅な上昇率の乖離が、交易条件の悪化による所得の流出をもたらしている。原油などの資源価格や穀物価格の高騰が交易条件の悪化を通して、日本経済に悪影響を与えている。

 最近の景気悪化の大きな理由は、米国経済の減速と原油などの高騰である。しかし、日本の景気は意外と悪いなりに底堅い面がある。7月分の鉱工業生産指数・速報値は前月比0.9%と2カ月ぶりの増加になった。鉱工業全体での在庫サイクル図をみると、2008年1〜3月期の各四半期はすべて、出荷の前年同期比が在庫の前年同期比を上回っていた。つまり在庫を縦軸とした時の45度線を下回っていた。

 しかしその後、2008年4〜6月期では出荷の前年同期比が1.2%、在庫が同2.7%で45度線を一時的に上回り鉱工業全体でも軽微な在庫調整がやや懸念された。しかし、7月分速報値では、出荷の前年同月比が2.8%増、在庫が同2.1%増で再び45度線を下回り、鉱工業全体として大幅な在庫調整の必要がないことを裏付けた。

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