エド・はるみが景気回復に貢献? 厳しい環境下明るい材料も:景気探検(2/2 ページ)
米国の不況や原材料の高騰の煽りを受け、一段と冷え込む日本経済。そうした中、意外な人の頑張りが景気回復に影響を与える可能性もあるという。
高視聴率のチャリティーマラソンが景気回復につながる
景気は後退局面入りだが、大きく落ち込む可能性は小さそうだ。身近な社会現象からも景気の弱さを示唆するものが多いものの、一方で、意外にも底堅さを示す明るい材料もある。
値上げの話や世界的な金融不安の話など、景気に関する暗いマスコミ報道が多いことが消費者マインドを大きく悪化させてきていた。ガソリン価格は原油価格上昇の影響もあり、8月4日時点で1リットル当たり185.1円まで上昇し、その影響が懸念されたところであったが、原油価格がWTI(West Texas Intermediate:テキサス州を中心に産出される原油)で7月11日に1バーレル147ドルの史上最高値をつけたあと下落、8月中はおおむね110ドル台で推移し、9月上旬にきて110ドルを割って一段と下落してきている。これはガソリン価格低下に結びつき9月に入り170円台に低下、先行きも低下が見込める。原油高という景気の悪材料が変化する中、過度な物価先高感とそれに伴う、先行きの実質購買力低下見通しという悲観的見方が弱まることは、景気の下支え材料になる。
金融面などで大きな問題を抱えている米国経済も、鉱工業生産や消費者信頼感指数が2カ月連続で改善したり、7月分耐久財受注が良かったりするなど、政策効果もあり足元に関しては意外に底堅い面もある。輸出が底堅く、米国の4〜6月期実質GDPは前期比年率3.3%増だ。
今年の日本テレビ「24時間テレビ」のチャリティーマラソンのランナーはエド・はるみさんだった。沿道のファンの声援に丁寧に応えながら完走した。番組の平均視聴率は18.6%、フィナーレでは30.2%と05年の30.3%に次ぐ高視聴率を出した。これまで一番視聴率が高かった2005年は丸山和也弁護士がランナーで、放送後景気は踊り場から脱却した。頑張っている人を多くの人が素直に応援できる状況は、先行きの景気回復に結びつくことが多い。今年、頑張っているエド・はるみさんを多くの人が応援したことは、今回の景気後退が軽微なものになる可能性を示唆する社会現象のひとつと言えそうだ。
ガソリン価格低下や、頑張っている人を素直に応援する風潮などで、景況感の悪化に歯止めがかかって欲しいところだ。
プロフィール
宅森昭吉(たくもり あきよし)
「景気ウォッチャー調査研究会」委員。過去に「動向把握早期化委員会」委員、「景気動向指数の改善に関する調査研究会」委員などを歴任。著書は「ジンクスで読む日本経済」(東洋経済新報社)など。
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