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成功企業に学ぶ、“変化”への対応の鍵は「プロセス/フロー」の視点にありITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

サブプライムローン問題からも分かるとおり、経営環境の変化はより激しくなっている。この“変化”に対応するために求められるのが、業務プロセス/フローの見直しの迅速化だ。この課題に対応することができれば、企業は他社に対する競争優位を確立することも可能になる。

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変化の時代を乗り切るための方策とは?

 ここにきて経営環境の変化がより激しさを増していることに異論を挟む向きはあるまい。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅投資)問題の影響により、米国の大手証券会社が相次ぎ経営破たんの危機にさらされたことからも、その一端を垣間見ることができよう。

 変化の種類はさまざまだ。M&Aや組織の見直しなどに伴う業務プロセス/フローの変化、扱う情報が2年で3倍にも増大するというデータ量の変化、データ量の増大に伴いより迅速な処理が求められるようになっているというトランザクション速度の変化など、その裾野は極めて多岐にわたる。

 アイティメディアは9月30日、経営層に向けたセミナー「第6回 ITmedia エグゼクティブセミナー」を開催。日本オラクルで製品戦略統括本部製品戦略担当シニアディレクターを務める西脇資哲氏は講演を行い、経営環境の変化に対応する上で情報システムの柔軟性の必要さを訴えた。

 西脇氏は「情報システムの構築に時間を要していては、変化に対応することができないのは言うまでもない。加えて、他社との競合を勝ち抜くためには、その企業ならではの業務プロセスや独自のノウハウをシステムに反映させることが不可欠である。変化の時代を乗り切るために、これらの大きな課題を乗り越えることが企業に求められているのだ」と強調する。

ITで業務フローを見直し競争優位を確立

日本オラクルの西脇資哲氏
日本オラクルの西脇資哲氏

 西脇氏によると、変化への対応に成功した企業は次のような大きな成果を上げているという。最初に挙げたのはパレットなどの運搬機器のレンタルを手掛ける日本パレットレンタルのケースだ。

 CO2の排出量を削減する必要性がここにきて地球規模で叫ばれていることを踏まえ、同社では経済産業省の「グリーン物流パートナーシップ」プロジェクトの一環として、個々のパレットにRFIDタグ(ICタグ)を添付。併せて、倉庫や店舗などにデータの読み書きを行うリーダライタを設置するとともに、同社のBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)実行基盤製品「Oracle BPEL Process Manager(PM)」と管理サーバと連携させることで、移動が激しいパレットがどこにどれほど存在しているのかをリアルタイムに把握できる仕組みを整備した。その結果、パレットの回収効率が50%以上も向上したほか、パレットを配送するトラックの配送ルートの最適化を行うことで、CO2排出量を4割以上も削減することに成功したのだ。なお、同システムの整備に費やした期間はわずか4カ月あまりだという。

 また、ある大手OA機器メーカーでは、営業と工場の生産現場の情報を連携させることで、顧客から発注があった際に在庫が切れている場合には、いつまでに商品が製造され、納品できるのかを営業部門でも容易に把握できるように。その結果、従来より密度の濃い情報を顧客に提供できるようになり、CRM(Customer Relationship Management:顧客情報管理)の強化にもつながったという。

 さらに、ドイツで大手流通チェーンを展開するMETROでは、店舗の生鮮食料品の鮮度管理業務を高度化させることに成功している。その仕組みは、商品の店舗への入庫時と陳列時、販売時の情報を一元的に管理し、その状況をリアルタイムにモニタリングすることで鮮度を可視化するというもの。特筆すべきは、店舗内の商品の鮮度情報を基に流通の過程にある中間在庫の最適化を図ることで、サプライチェーン全体の最適化にまで踏み込んでいるところだ。

 「情報システムに手を加え、業務プロセスやフローの見直しを行うことができれば、他社に対する圧倒的な優位性を確保できることは言うまでもない。もちろん、企業により見直すべき部分はさまざまだろう。だが、当社はさまざまなミドルウェアやアプリケーションを有しており、あらゆるニーズに対して総合的かつ柔軟に応えることができるのだ」(西脇氏)

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