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金融新時代に挑むプロミス【前編】勝ち組企業の経営戦略(1/2 ページ)

米金融危機の影響などによる景気後退、労働人口の減少、不安定な政局への懸念……。日本が今抱える課題は山積みだ。そうした情勢に伴い多くの日本企業が苦しい状況にいる中、着実に業績を伸ばし業界をけん引している企業が存在する。特集「勝ち組企業の経営戦略」では、さまざまな分野でトップを走る企業の経営層が事業戦略や将来の展望などを語る。

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 ICT(情報通信技術)が企業経営で果たす役割は一層高まっている。しかしながら、企業によってICTを担う部門に対する評価は大きく異なっている。

 これにはいくつかの理由が考えられるが、これまでの右肩上がりの成長路線から次第に縮小する日本市場を眼前に、企業経営者が抱える問題はICTの近代化だけではないことだ。企業が難局をどのように乗り越えようとしているのか、その方策を明らかにし、プロセスの中でICTを位置づけるのが重要である。

 経営企画のように企業の将来計画を策定する部門ならびにその部門を統括する役員に直接インタビューを試みるのが、企業が抱える課題を明らかにする近道ではないかとの発想が本特集の趣旨である。

 今や岐路を迎えた日本の主要企業がその将来像を描く上で、欠かすことが出来ない3つの重要なキーポイント(グローバル、ブランド、ICT)に対し、どのような取り組みを行っているか、その中でICTがどのように位置づけられているかを明らかにしたい。



 第1回はプロミス。同社はコンシューマーファイナンス(消費者金融)大手として、ライバルのアコムと並び注目される企業だ。アコムは三菱UFJ銀行グループ、プロミスは三井住友銀行グループに属している。2006年12月20日に公布され、2010年6月までに段階的に施行される予定の貸金業関連法改正の影響(出資法上限金利の利息制限法水準までの引き下げや総量規制の導入など)への対応に追われている。

 同法施行による消費者金融業界の現状や激動する世界経済における海外戦略、今後の業界動向とITのかかわり合いについて、取締役常務執行役員の立石義之氏に聞いた。

「同業他社の買収に尽力」――経営企画部門の役割

長年にわたりプロミスの情報システムを支えてきた立石義之常務執行役員
長年にわたりプロミスの情報システムを支えてきた立石義之常務執行役員

――立石さんのキャリアについて教えて下さい。

立石 2000年から2006年までの一時期、経営企画や広報、リスクマネジメントなどを担当しましたが、それ以外には原則として情報システム部門に在籍していました。職歴のほとんどがIT部門といってもいいでしょう。2008年10月から再度広報も兼任することになりましたので、現在は広報とITを担当しています。

――経営企画部門の役割および組織概要についてお聞かせ下さい。

立石 経営企画部門は人事・総務、情報システムのみならず国内外の子会社の管理を含み非常に大所帯です。その中核をなす部門が総合企画部で、人員は15名です。その機能は、グループ経営全般に関する企画の立案および計画策定から執行管理までと多岐にわたります。直近では三洋信販のTOB(株式公開買い付け)の時にデューデリジェンス(M&A取引に関する意思決定を行うに際して、対象会社や事業などに対する実態を把握するための調査)の取りまとめもしています。

 また、状況に応じてさまざまな調査研究や外部との折衝など、仕事の絶対量は時々の事業環境や経営のニーズにより増減します。配置は基本的に本社です。

――このたびの米国金融危機で、世界的に消費者金融業界は大きな痛手を受けていると聞きます。プロミスを含め、日本の消費者金融業界への影響はあるのでしょうか。また、米国の金融危機に限らず、現在の日本の消費者金融業界が抱えている問題で重要なものを教えてください。

立石 米国の金融危機は全世界に波及しており、世界的な信用収縮は 既に日本経済にも大きな影響を与えています。日本の消費者金融業界においても外資系金融機関の破たんや銀行の貸し渋りなどにより、資金調達の面で一部影響が出てきているようです。そのような中で当社は、三井住友銀行のバックアップもあり、現時点では資金調達面での不安はまったくありません。

 現在の日本の消費者金融業界における問題で最も大きいものは、2006年に公布され、2010年6月までに段階的に施行される予定の貸金業関連法改正の影響です。その中でも、2010年6月までに実施される予定となっている出資法上限金利の利息制限法水準までの引き下げと貸し付け金額の総量規制の導入は、単に金利の引き下げに伴う利息収入の減少にとどまらず、消費者金融マーケットそのものの大幅な縮小につながる可能性があり、消費者金融会社の経営に大きなインパクトを与えるものとなっています。

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