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【第1回】グローバル経営の全体像を読みとく加速するグローバル人材戦略(2/3 ページ)

トーマス・フリードマンの言葉を借りるまでもなく、世界は“フラット”になり、あらゆる企業がグローバル競争に介入できる時代が到来した。新連載「加速するグローバル人材戦略」では、グローバル経営における人材戦略について、体系的な理論や成功企業の事例などを交えながら、将来のあるべきグローバル人材像を模索する。

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グローバル化とローカル化のバランス

 これらの目標において、例えばグローバル化とローカル化を車の両輪とすると、その間でエンジンとなるのがグローバル市場における組織のナレッジ共有と活用である。グローバル経営という名の車を走らせる動力源になる。地域ごと、国ごとではなく世界全体で市場をとらえることは、グローバル市場は既存製品・サービスの販売先市場であると同時に、世界中で革新的製品・サービスの創出の場でもある。一方で単一グローバル製品だけでは、特定の国・地域のニーズに合わないことがままある。2バイトである日本語への対応が必要なIT製品(英語版)などは顕著な例である。他方でローカル向け(特定国市場)に開発された製品では、他国で通用しないことも起こり得る。グローバル・ローカル市場を左手で掴みながら、右手で製品やサービスを開発、販売し、適時に見直していくのが鍵となる。

 例えば外資系企業の日本発グローバル化製品として、高級アイスクリームブランドであるハーゲンダッツの「抹茶アイス」が挙げられる。当初日本市場のみの販売であったが、今ではアジア市場でも販売されている。また飲料メーカーであるコカ・コーラは、日本発のスポーツ飲料「アクエリアス」をヨーロッパ市場で、清涼飲料の「Qoo(クー)」を中国、台湾、タイなどのアジア市場で展開している。逆にグローバル製品のローカル化を進める代表的な企業がネスレだ。ネスレの「キットカット」は地域ごとに特有のテイストや嗜好に合わせて製造している。

 これらは日本市場向け製品がグローバル市場へ展開された事例であり、グローバル製品をローカル化した事例でもある。グローバル化とローカル化、ナレッジの共有と活用を促す仕組みという、一見矛盾した目標をバランスよく達成することがグローバル経営の要諦である。

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