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「教科書なきCIOの世界」――カシオ計算機・矢澤氏CIOインタビュー(2/3 ページ)

1997年に情報システム部門に異動してきて以来、メインフレームからオープンシステムへの移行、グローバルでのERP導入、サプライチェーンの整備などさまざまな企業改革の担い手となったカシオ計算機の矢澤氏。「ITによって経営戦略に貢献することがわたしの役目」とCIOとしての使命を強調する。

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サイロ型の縦割り組織から脱却

――情報系システムの整備はいつごろ行われたのですか。

矢澤 1998年1月に本社を初台に移したタイミングで従業員用のPC導入が進みました。グループウェアは2000年を過ぎたあたりでしょうか。2002年ごろには全社共通のWebポータルを立ち上げて、社内のさまざまな情報を一元化しました。情報系システムについては、基幹系システムとの連携を踏まえて、基盤やユーザーインタフェース(UI)をどう整えていくかというのが重要だと考えています。現在はWeb2.0やマッシュアップの技術を活用し、企業ポータルと個別のシステムを徐々につないでいます。

 UIについては非常に重視しています。最近はすべてWebベースでシステム構築しており、UIをテンプレート化して各システムで共通利用できるようにしました。例えば営業や販売の現場では、在庫検索したり発注入力したりなどシステムをまたがって作業する必要があります。業務効率を考えると、どのシステムに対しても共通のUIを実装するのが好ましいです。

 繰り返しになりますが、基盤を整えることが最も重要だと考えています。ビジネスの要求に対して素早く応えていくためには、今までのサイロ型の情報システムからインフラを統合して横断的に利用できる形にしなければなりません。具体的な取り組みとしては、コンポーネント化した各アプリケーションと共有化したサーバなどをSOA(サービス指向アーキテクチャ)でつないでシステムを統合化しています。

カシオの情報システムの統合化・標準化を支えるインフラ構造
カシオの情報システムの統合化・標準化を支えるインフラ構造

 それに伴い、情報システム部門の組織体制を見直し、人員を削減しました。従来は製造なら製造、会計なら会計と縦割りでシステムをつくっていたので、それぞれの技術の変化に対してわずかなシステム管理者だけではキャッチアップできず、専属の人員を必要としていました。しかし実際には各システムの保守や運用で手一杯という状況でした。水平統合することで、システムだけでなく人員の共通化も可能になりました。

――SOAの導入は日本ではあまり進んでいないように思えます。

矢澤 わたしも多くの企業の方からSOAのメリットがよく分からないと質問されます。SOAはシステムがリアルタイム連携しないとメリットが出ないので、バッジ処理の多い日本企業ではイメージがわかないのでしょう。しかしビジネス側の要求を考えれば重要性は理解できるはずです。例えばサプライチェーンのようなシステムを組み上げてほしいという要求が出たときに、今までのようなバッジ連携ではそこまでの要求に対応できません。

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