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「顧客やパートナーの声をシステムに反映」――三井住友海上・玉田氏CIOインタビュー(1/3 ページ)

企業の統廃合が進む保険業界。その中にあって企業経営の基盤である情報システムの果たす役割は大きい。とりわけ競争優位を保つためには、ステークホルダーの期待に応えるシステムが重要だという。

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 三越と伊勢丹の経営統合、パナソニックによる三洋電機の買収、新日本石油と新日鉱ホールディングスの経営統合など、市場での生き残りを賭けて業界再編を加速させる日本企業。保険業界においても、損害保険業界2位の三井住友海上グループホールディングスと4位のあいおい損害保険、6位のニッセイ同和損害保険が2010年4月に経営統合することで合意した。

 統合の目的について3社は「グローバルに事業展開する世界トップ水準の保険金融グループを創造して、持続的な成長と企業価値向上を実現する」としており、グローバル戦略の重要性を示唆している。

 今回インタビューした三井住友海上火災保険のIT推進部 部長である玉田孝一郎氏も海外戦略やグローバルでの競争力強化を念頭に置いて、情報システムの構築に取り組んでいるという。


合併によりシステム統合に着手

――三井住友海上火災保険のIT部門の組織概要と、玉田さんの役割について教えてください。

1977年に住友海上火災保険入社。情シス部門で損害保険業務のシステム開発を担当後、1988年より米国駐在しオペレーションシステムを立ち上げる。その後、国際部企画課長を経て1999年より情シス部でIT戦略立案を担当。2000年3月より三井海上火災保険との合併のため、全社ネットワークの統合や、代理店オンライン、統合顧客データベースなどのオープン系システムの統合作業を担当した
1977年に住友海上火災保険入社。情シス部門で損害保険業務のシステム開発を担当後、1988年より米国駐在しオペレーションシステムを立ち上げる。その後、国際部企画課長を経て1999年より情シス部でIT戦略立案を担当。2000年3月より三井海上火災保険との合併のため、全社ネットワークの統合や、代理店オンライン、統合顧客データベースなどのオープン系システムの統合作業を担当した

玉田 三井住友海上火災のIT部門で情報システムの企画や管理を担当するほか、システムの開発、運用を行う情報関連子会社の三井住友海上システムズでは取締役として指揮をとっています。海外に展開する関連会社のシステムにも関与しています。

 本社にはシステム関連のスタッフが50人、子会社には500人が在籍しています。予算規模は全体の2.5%に当たる400億円程度です。同業他社と比べると、国内ではそん色ありませんが、欧州(3.5%)や米国(4%)の企業よりは規模が小さいといえます。

 三井住友海上火災は三井住友海上グループホールディングスという持ち株会社の傘下にあり、当社のほか三井住友海上きらめき生命保険、三井住友海上メットライフ生命保険、三井ダイレクト損害保険の計4社で構成されています。現在はグループ会社それぞれで財務会計の処理を行っていますが、将来的には統合していく方向です。


――三井住友海上火災は、三井海上火災と住友海上火災の合併により2001年10月に誕生しました。両社の統合を経た現状のシステムについて教えてください。

玉田 住友海上火災のメインフレーム(NEC)と三井海上火災のメインフレーム(IBM)の2つが存在していたため、合併時にすべてIBMにホスト統合しました。契約管理業務と保険料精算業務で活用しています。同時にオープン系システムを導入し、業務ごとに最適なシステムを構築しました。

 2年ほど前から本格的にサーバ統合も進めており、合併時に全体で2500台あったサーバを現在は約1000台に集約しています。業務系は主にHPを採用していますが、一部サン・マイクロシステムズも用いています。まずはフレームワークの統合を行い、これから共通部品化に着手します。SOA(サービス指向アーキテクチャ)は次のステップですね。

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