史上最悪の事態が続く日本経済、「坂の上の雲」に景気回復を託す:景気探検(1/2 ページ)
今年の大河ドラマは最終回が11月に前倒しとなり、日本人に愛される作品の1つである司馬遼太郎「坂の上の雲」のドラマが放送される。強い時代の日本に思いをはせ、景気回復を祈る人も多いだろう。
昨年9月15日のリーマン・ショック以降の金融危機の影響があまりにも大きく、輸出企業のみならずほぼすべての業種で業績悪化が続いている。鉱工業生産指数の前月比減少率は、発表されるたびに史上最悪更新が続いている。つい最近まで史上最悪は2001年1月分の4.2%減だったが、2008年11月分速報値で8.1%減と大幅に記録を更新した後、11月分確報値で8.5%減と減少率が拡大した。さらに2009年1月30日に発表された12月分速報値で9.6%減と大きく記録を更新した。
製造工業予測指数で先行きの前月比を見ると2009年1月分は9.1%減、2月分は4.7%減である。これまでの鉱工業生産指数の最高は2008年2月分の110.2だった。生産指数を予測指数で延長すると2009年2月分で73.3になる。1年間で3分の2の水準まで大きく低下することになる。73.3という水準は1983年12月分(73.3)以来の低水準であり、いかに短期間に生産水準が低下しているかが分かる。
1・2月分を予測指数で延長し、3月分の前月比をゼロと置くと2009年1〜3月期の生産指数は前期比20.3%減にもなる。実際はさらに下振れるリスクもあるので、史上最悪の四半期ベースの減少率になりそうで、雇用・所得面への悪影響などが懸念される。
長引く異常事態
また2月6日に発表された2008年12月分景気動向指数・速報値では、先行CIは前月と比較して2.0ポイントの下降、一致CIは前月と比較して2.6ポイントの下降、遅行CIの前月差は3.5ポイントの下降となった。
先行CIは新設住宅着工床面積と中小企業売上げ見通しDIの季節調整替えのため遡及改訂された。10〜12月分で3カ月連続の下降である。前月差2.0ポイントという下降幅は、統計史上最大だった10月分の4.0ポイント、史上2番目の11月分の3.7ポイントよりは小幅ではあるが、かなりの下落幅であることには変わりはない。先行きの景気の悪化を示唆している数字だ。
一致CIは5カ月連続の下降で、前月差2.6ポイントは、統計がある1975年2月分以降で最大だった2008年8月分の2.9ポイント、史上2番目の2008年11月分の2.8ポイントに次ぐ史上3番目の下降幅で、足元の景気の急激な悪化を示す数字となった。
一方、参考系列の先行DIは10.0%、一致DIは0.0%、遅行DIは0.0%になった。先行DIは3カ月ぶりに0.0%は脱した。新規求人数がプラスに転じたためである。一致DIは史上初の4カ月連続の0.0%になった。すべての系列が3カ月前と比べ4カ月連続して悪化するという異常事態を示唆している。DIには景気悪化の浸透度を示す力があるが、4カ月連続0.0%が続いたことは足元の景気の厳しさを裏付けるものと言えよう。
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