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「経営者とCIOは合わせ鏡」――JUAS・細川専務理事Executiveインタビュー(1/2 ページ)

大不況の中でCIOは何を考え、いかなる施策を打つべきか。経産省の外郭団体である日本情報システム・ユーザー協会の細川専務理事に聞いた。

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 不況の深刻化の度合いが増してきた。2008年度もわずかとなったが、大方の企業は、新年度予算の前提となる景況感の見通しと売上高や損益の概要を把握し、予算の概略の枠組みを既に立てているころだ。

 この不況の中でCIO(最高情報責任者)は何を考え、どのような対策をとろうとしているのか。経済産業省の外郭団体であり、企業の情報システム部門が結集した組織である日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の細川泰秀専務理事に話を聞いた。



冷え込むIT投資

――今回の経済危機において、企業の情報システム部門を取り巻く環境は確実に悪化していると思います。JUASにとって影響はありますか。

CIOの役割について語る日本情報システム・ユーザー協会の細川泰秀専務理事
CIOの役割について語る日本情報システム・ユーザー協会の細川泰秀専務理事

細川 景況感は、昨年9月を境に坂を転がるように悪化しました。JUAS会員企業の中でもIT投資に否定的な見方をしている人たちは増加しています。IT投資動向に関し、JUASでは会員を対象に翌年度の予算について毎年調べています。例年なら全体の約4割は前向きとの回答するのが通例なのですが、ほとんどがマイナスに転じようとしています。冷え込みを感じています。恐らく次年度は10%以上投資が削減される可能性が高いと考えています。

――削減の主体をどのようにお考えでしょうか。

細川 情報システム部門は保守、運用費用を落として、新しいアプリケーションの開発、構築を進めようとしています。以前は保守運用費と開発費の割合は7.5:2.5でしたが、最近は6:4に変わってきています。企業におけるIT投資自体は増えています。JUASが行った調査によると、3分の2の企業が10年前と比べて増加したと回答しました。この傾向はB2Bを採用しているような先進的な企業でも変わらなかった。今回はこの部分にメスを入れる決断をしている企業が多いです。


――今回の深刻な不況において、注目されているアプリケーションや技術などがあれば教えてください。

細川 やはり仮想化技術でしょうか。前述したように、保守、運用費を抑えたいというのが喫緊の課題ですので、コスト削減を達成するための近道となる仮想化技術の導入は進んでいます。ある企業では運用費が3分の1に低下したという話があります。ただし、単にコスト削減で終わらせてしまうのではなく、新規投資に振り向けてほしいと思います。


――金融危機に対する処方せんを情報システム部門は出せるのでしょうか。

細川 この不況下でも、新しい「もの」、新しい「知恵」、新しい「仕組み」を生み出せる企業が伸びると考えています。その中でIT部門が高く評価されるには、成長をつかさどる中核、頭脳として活動することに尽きると思います。

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