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「経営者とCIOは合わせ鏡」――JUAS・細川専務理事Executiveインタビュー(2/2 ページ)

大不況の中でCIOは何を考え、いかなる施策を打つべきか。経産省の外郭団体である日本情報システム・ユーザー協会の細川専務理事に聞いた。

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今こそ必要なのは「問題感知力」

――細川さんは数多くの情報システム部門の身近にあり、CIOと接触する機会も多いと思います。どのようなタイプのCIOが不況を乗り切るためには必要ですか。

細川 IT部門の活動に納得していない経営者は多く、もっとリーダーシップを発揮してほしい、部門の壁を乗り越えてもっと知恵を出してほしいと考えています。しかしながら、IT部門にはそれを達成するだけの人材が不足している場合が多いのは事実で、業務部門や企画部門からITに理解のある人たちをIT部門に引っ張っていることもあります。

 企業にはさまざまな業務があり、それを改善する必要があります。業務の改善なしにやみくもにシステムを構築しても、業績改善には寄与しません。そこで重要なのが「問題感知力」です。よく問題発見力と言われますが、これは業務を行う上で、問題となる事柄を発見することに重点が置かれています。問題感知力は業務改善を含め、もっと広く高い視野からふかんし、感じることによって得られる検知能力です。

社長が優秀ならばCIOも優秀

――昨年、経済産業省が「IT経営協議会」を立ち上げるなど、企業経営の中でITの果たす役割、その当事者になるCIOが経営に果たす役割についてスポットライトが当たってきました。もちろんその前提となる経営者の意識改革が重要だと思います。

細川 CIO出身の大手企業の社長は増えてきており、そうした流れは必然でしょう。実は日本のCIOは多くが経営企画や業務部門の出身者で、IT部門出身はわずか2割に過ぎません。彼らの多くはIT一辺倒ではなく経営的な観点でものを見る傾向が強いのです。

 米国のCIOは新しい技術に興味を示します。その結果、全般に新規技術投資に偏っている傾向が強く見られます。同種の企業で比較すると10%程度は予算規模が大きいようです。ITの専門家がCIOを任されるとどうしても経営よりも技術に軸足を置く傾向になります。これについては米国でも反省する機運が見られ、CIOを育成するカリキュラムを立ち上げるなど経営に重点を置く教育に変わりつつあるようです。わたしの意見としては「日本の真似をするのね」と感じています。

 経営側の本音は在庫を減らすといった経営課題の解決であり、IT以前の問題が多い。それに対し、経営者を支えるCIOが提供しなければならないのは、経営者が会社をどう変えようかというビジョンをつくるための手伝いをすることです。経営者がITに関してそこまで知識がないのは仕方ない一面があります。経営者は多忙なのです。経営者のビジョンを実際の業務に落とし込む行動を取ることが真に優秀なCIOの役割です。社長が優秀であればCIOも優秀なのです。経営を映す合わせ鏡のようなものです。


――各企業とも厳しい予算環境になりつつあります。ハードウェアおよびソフトウェアベンダーへの要望はありますか。

細川 ベンダーに考えてほしいのはシステムの信頼性と使いやすさです。例えば、ファクシミリはインターネットが一般に普及した今でも使われています。使い勝手の良さとほかのシステムへ乗り越える経費、使っている人たちのITリテラシーを考えれば、生き残るのは当然です。これをシステムに当てはめて考えると、プログラムの継承性やユーザビリティに関してベンダーは無神経です。企業用アプリケーションの利用サイクルをベンダー側は5年と想定していますが、ユーザー側は10年は使いたいと考えています。あまりに短いサイクルで製品寿命が尽きるようだと、新しいシステム導入に要する投資、社員教育などに手間が掛かり、エンドユーザーの意識に拒絶反応が芽生えてしまいます。


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