外資旅行社の進出規制を緩和:中国ビジネス最前線
2009年5月から新条例が施行されることに伴い、これまで外資旅行会社が負担していた登録資本金などの特別制限が撤廃されることとなった。
▽中国、外資旅行社の進出規制を緩和
中国国務院法制弁公室と国家観光局は3月18日、今年5月1日に施行となる新たな「旅行社条例」について説明した。新条例では、海外資本の旅行社にかけられていた登録資本金最低額400万元(約6000万円)の制限や投資者資格に対する特別制限が取り消された。
海外資本旅行社は支社や支店を作ってはならないという制限も取り消され、合弁、合作、単独資本の旅行社を海外投資家が中国に作ることを認める規定も設けられた。中国で経営許可を取得して満2年が経ち、規定に違反しなかった外資企業に対しては、国内の旅行社と同じ待遇が与えられ、出国旅行業務の経営も認められる。
新条例ではさらに、旅行社は経営許可を得た後、国内と入国の旅行業務に携わってよいとされ、入国旅行業務を取り扱うのに必要な登録資本の最低額も引き下げられた。
▽財政部、中央予算の海外出張削減
財政部は3月18日、2009年の予算で各部門の支出について引き下げ調整が行われ、中央政府からの財政支出を受ける部門の海外出張費、車両購入費、接待費などが大幅にカットされることを明らかにした。2009年の各地域、各部門の公務による海外出張費は、直近の3年間の平均を20%下回るものにするとしている。
2009年の各級党政務機関の車両購入費および運転経費は、直近3年間の平均を15%下回るものとし、2009年の各級党政務機関の公務での接待費は、2008年の金額を10%下回るものとするとしている。
財政部と審計署はこのほど、2009年の予算における海外出張費など3項目の経費削減に関する通知を発表し、各部門の予算における関連経費の削減や中央政府部門における3項目の経費削減規模の概算などを明らかにした。
▽商務部、企業の海外投資をサポート
中国商務部は3月16日、「海外投資管理弁法」を公布し、国際的な金融危機にある中で、対外投資の拡大は世界の経済成長を維持するのに重要だとした。
海外投資管理弁法の公布の目的は、海外投資の管理体制改革をより強化し、海外投資の便宜を図り、中国企業が海外に進出し国際経済の協力と競争に参与することを支援することである。
海外投資管理弁法では、海外投資案件の審査、許可について、投資規模が極めて大きいもの以外は審査、許可の権限を地方に委託し、同時に審査、許可の手続きも大幅に簡素化した。海外投資は、中国で法律に基づき設立された企業が新設、M&Aなどの方法を通じ海外で非金融企業を設立すること、あるいは既存の非金融企業の所有権、管理権、経営権などの権益を取得することと定められている。
今後、商務部の審査を必要とする投資案件は、以下に該当するものに限られる。
1. 中国と国交のない国への投資案件
2. 特定の国あるいは地域への投資
3. 中国側の投資額が1億ドル以上の投資案件
4. 複数国の利益にかかわる投資案件
5. 特殊な目的で海外に会社を設立する場合
その他の企業による海外投資は、省クラスの商務主管部門の審査、許可だけが必要となる。
1. 1000万ドル以上、1億ドル以下の案件
2. エネルギー、鉱物資源関連の海外投資
3. 企業誘致を必要とする海外投資案件
海外投資管理弁法は2009年5月1日に施行され、これまでの「海外投資・企業設立の審査・許可事項に関する規定」と「商務部、国務院香港・澳門弁公室に関する通達」は同時に廃止される。
※この記事は内田総研グループ発行のメールマガジン『士業・net』の一部を加筆・修正し、許可を得て転載しています。
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