「社員やパートナーとの強い連携で、大規模なシステム統合を完遂」――三菱東京UFJ銀行・根本常務【前編】:経営革新の担い手たち(2/2 ページ)
2年の開発期間、2500億円をかけて完遂した三菱東京UFJ銀行のシステム本格統合プロジェクト。CIO(最高情報責任者)として6000人もの開発メンバーを率いた根本常務は、プロジェクトを推進するためには、社員やパートナーとの絆を大切に使命の重要性を共有し、全員が一丸となることだと語る。
社内外から統合プロジェクトを管理する体制を構築
ITmedia プロジェクトの進ちょくや品質などを管理するために、どのような工夫をされましたか。
根本 進ちょくと品質確保の両立を図るために、大規模プロジェクトに見合うようガバナンスフレームワークを高度化しました。特に意識した点は、気付きの機会を豊富に設けること、バウチャー主義の徹底、コミュニケーションの円滑化の3つです。
気付きの創出に関して、例えば、プロジェクト遂行上のリスクを制御するため、常時全員が想定リスクを洗い出し、定量化してリスク量が分かるようにしたほか、アクションプランを立てて解消状況をトラッキングする仕組み(Risk Breakdown Structure)を構築し、リスクと対策の共有を図りました。あるチームが認知したリスクがほかのチームでも起きていないかを組織的に管理しました。そのほか、現場、現実、現物の三現主義の確認を徹底したり、IT企業出身の経営者の方や当社が活用している製品に詳しい方など外部の有識者にプロジェクトに入ってもらいチェック体制を敷いたりしました。
バウチャー主義の徹底を改めて掲げたのは、正確な実態把握はもちろんのこと、とかくプロジェクトは外から疑心暗鬼の目で見られがちで、それに対して説明責任を果たす必要もあるからです。周囲から正しい理解を得て、必要な協力や貴重なアドバイスを受けるためには、事実や数字をもって明確に説明することが重要です。
6000人それぞれの認識が食い違わずにプロジェクトを進めるためには、円滑なコミュニケーションも必要です。週次、日次の会議体、集中討議、合宿を実施したほか、ビジネスパートナーを含めた全員との情報共有を図るためのシステム部門専用のポータルを立ち上げるなど、あらゆるものをコミュニケーションの機会として活用しました。
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インタビュー後編 「プロジェクト成功の鍵を握る現場力」に続く。
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