【第19回】採用は人事部門だけの仕事か?:ミドルが経営を変える(1/2 ページ)
新卒社員の採用は人事部にとって重要な任務であることは間違いない。しかし同時に、企業にとっても将来を左右する大一番である。現場でエース級の社員が自らの仕事を熱く語り、学生の心を揺り動かすべきではないか。
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大手企業による2010年4月入社の選考活動が4月1日、解禁となった。これに前後して恒例となった大学生の就職人気・志望ランキングが発表された(図1)。
調査対象となったのは、2010年3月卒業見込みの全国大学3年生および大学院1年生である(文系1万4917人、理系7160人。ランキングは5社連記方式)。昨年順位とそれほどの変動はない。表1は毎日コミュニケーションズの調査であるが、リクルートの調査でもよく似た顔ぶれとなっている。例えば文系ランキングを見ると、全日本空輸(ANA)、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、JR東日本、ベネッセコーポレーションが上位10位に並んでいる。
学生に人気がありそうな「毎度おなじみ」の顔ぶれである。ビジネスマンの皆さんはどのように感じるだろうか。若手の方ほど「学生の時には入りたかった会社」がそろっていることかと思う。バブル崩壊以前に就職活動をした方にとっても、当時の人気企業は少なくはないはずだ(人気のあった日本興業銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行のいわゆる長信銀3行はすべて「旧」となってしまっているが)。
「内定切り」が飛び交う
学生の就活に関する話題は、ここ最近暗いものばかりである。この3月に卒業した学生についていえば、開始当初の就活市場は非常に活気を見せていた。しかし「100年に1度」と呼ばれる不況のあおりで、卒業時には「内定切り」なる言葉がキャンパスを飛び交っていた。筆者の勤務する大学も例外ではなかった。厚生労働省の発表によれば、採用内定の取り消し件数は404事業所、1845名にのぼっている(2009年3月23日現在)。うち大学生など(大学、短期大学、専修学校などの学生)は351事業所、1501名である*1。
現4年生の就活市場も冷えた状態にある。中堅・中小企業だけでなく大手企業でも、採用手控えを語る各種の数値が発表されている。例えば、中堅・中小企業を特に対象とする調査では、約半数の企業が「採用予定なし」を予定している*2。大企業についても同様である。経団連の調査によれば、2009年度の採用活動については採用実施予定の割合が86.4%となっており、2008年度の93.9%に比べ7.5ポイント減少している(図2)*3。
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